今日は敬老の日。私の住んでいる町の自治会では、お年寄りと子供たち、そしてその親たちが集まり、恒例の世代間交流会が催された。

総務省の発表によると「総人口が27万人減少する一方、高齢者は44万人増加」し、「総人口に占める高齢者人口の割合は28.1%と、過去最高」だったとある。また、「高齢者の転出超過数は東京都が最も多く、転入超過数は埼玉県が最も多い」、「60歳以上の転出先は、東京都では埼玉県が最も多く、大阪府では兵庫県が最も多い」ともあった。

私の住んでいる埼玉県は高齢者に魅力的な地域だということだろうか。だとすればうれしいが、住みにくくなった東京都に隣接しているだけの理由なら、ちょっと寂しい。思わず、全米オープンで見事優勝を果たした大坂なおみ選手の発したひと言が口をついて出てしまった。

敬老の日に重ねて、もう一つ言わせていただく。先に厚生労働省が出した「平成30年版高齢社会白書」によると、2065年には、男性84.95歳、女性91.35歳となり、女性は90歳を超えると見込まれている。健康を維持できれば多くの人が90歳、100歳近くまで生きられることになる。一方でこんなデータもある。厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」によると、男性の平均介護期間が9.79年、女性が12.93年とあった。

長く生きられるようになったことはうれしいことだが、死に至るまでの平均介護期間が10年前後もあることを考えあわせると、「ちょっと」どころか「とても」寂しい気分になる。長く生きるにしても、少しでも寝たきりの期間を短くしたいし、できることならそのような期間はないにこしたことはない。

「いかにして生きるべきか」は文学や思想の力だが、「どのように逝くか」を突き詰められるのは宗教の力だ、と言った人がいる。人間は、ここでも試されているのかもしれない。


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# by hasiru123 | 2018-09-17 20:38 | その他

実りの秋


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台風と猛暑を繰り返しながら、秋風を感じる日が多くなってきた。少しずつ気温が下がり、あるいは湿度が下がり、そして温度と湿度ともに低くなる秋の高気圧圏内に入ると、走る距離も伸びてくる。

しばらくぶりでゆっくり20キロ走をやってみた。「やってみた」というよりは、「予定を大幅に超えたため、結果として走る時間が長くなった」というのが正確かもしれない。ゆっくり走る分にはほとんど疲れを感じさせない。それだけ涼しくなったのだ。

私が早朝に走るコースは農道で、田んぼの準備状況や稲の成長具合を見やりながら季節を感じている。今年はやけに田植えが遅いなあとか、田んぼの水が少なくなってそろそろ水を引いてあげてはどうかなどと思いながら走っている。

この時期になると稲穂が大きくなって色づき、そのうちに穂の重みで倒れてくる。ところが、最近は倒れる前に刈り取られることが多くなったような気がする。その理由を、農業に詳しい友人に尋ねてみたところ、倒れてから稲刈りをやると取り残しが出るので倒れる直前に刈るようにしているし、籾が全部黄色になる頃は刈り遅れで穂元に緑色籾が少し残ったところで刈り取るのがいい、と教えてもらった。

ところで、走るコース沿いに今でも緑色で、籾も小さい田んぼが1枚だけある。その最大の理由は、田植えの前に麦を作っていて6月になってから田植えが始まったためなのだが、それだけではない。日照りの強かった猛暑の時期にほとんど水を入れていなかったからだ。1週間前に襲来した台風の大雨で少しは潤ったようだが、果たして1か月後に大きな籾をつけてくれるだろうかと気になっている。

稲刈りが終わった田んぼから農道に、小さなカエルが何匹も飛び出してくる。カエルはランナーに踏みつぶされるようなのろまではないが、しばらくは足元を気をつけながら走る日が続きそうだ。

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     (写真上)ライトアップした縁むすび風鈴(川越氷川神社)
     (写真下)若い人で賑わう縁むすび風鈴(川越氷川神社)


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# by hasiru123 | 2018-09-11 20:40 | 練習

再び高校野球について

アマチュアスポーツを巡っては、日本大学アメフト部の前監督らが悪質な反則を指示していた問題や日本レスリング協会前強化本部長によるパワーハラスメント、女子柔道のロンドン五輪前監督らによる暴力・暴言などが相次いで明るみに出ている。そもそも、スポーツにはフェアプレーの精神はあったのだろうかと、疑いを持ってしまう昨今である。

そんな中で、再び夏の高校野球について。

大阪桐蔭と浦和学院の準々決勝でのことだ。浦和学院の投手に打球が当たった。大阪桐蔭の3塁コーチャーがすかさず投手のところに駆けつけ、コールドスプレーを吹きかけた。準決勝の済美戦でも、大阪桐蔭の打者が放った打球がイレギュラーバウンドして、済美の三塁手の喉元に当たるシーンがあった。そのとき、さりげなくコールドスプレーを持って走り寄ったのが、大阪桐蔭の三塁コーチャーだった。

大阪桐蔭が済美を降したあとの選手へのインタビュー。大阪桐蔭のある投手は、決勝の相手に決まった金足農の主戦投手について、これまでに一人で5試合を投げ抜いたことをたたえ、そして気遣った。

これまた、さかのぼって春の選抜大会の決勝戦。大阪桐蔭の投手がゲームセットとなるアウトを取ったとき、相手の智辯和歌山の選手に挨拶してから、一人遅れて仲間の歓喜の輪に入った。

こうした選手たちの小さな行動の一つ一つに何のつながりもないのだろうが、見守る者たちの心を動かす高まりのようなものを感じずにはいられなかった。誰かが教えたとか助言したとかというのとは違う、自立した精神がこの選手たちに宿っているように思えたからである。

相手チームの選手は「敵」ではない。野球を楽しむ大切な「仲間」である。高校野球が人々を引き付けるのは、忘れていたこの高揚感を思い出し、新たな気持ちで出発しようとさせるからかもしれない。


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# by hasiru123 | 2018-08-29 21:17 | その他

第100回記念大会

今年の夏の高校野球は第100回目という節目にあたることから、史上最多の56校が参加した。1回戦から見ごたえのある試合が見られ、あっという間に明日決勝を迎えることになった。

夏の甲子園といえば、何といっても全国高等学校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」だろう。加賀大介作詞、古関裕而作曲のあの歌だ。1949年にできた。

その前はというと、1926年に作られた「全国中等学校優勝野球大会の大会歌」(信時潔作曲)と、35年の「全国中等学校優勝野球大会の歌(全国中等学校優勝野球大会行進歌)」(山田耕筰)があった。「海行かば」や数々の校歌を作曲した信時潔であればなるほどと思うが、洋楽の開拓者とされる山田耕筰が野球の行進歌も作っていたとは意外な気がする。

現在では、夏の大会では古関裕而と山田耕筰の曲がセットになる形で使われていて、どちらも高校野球を彩るメロディーとなっている。以上は、片山杜秀氏がFM放送の音楽番組で語っていた内容の聞きかじりである。

前置きが長くなったが、今年の高校野球で気がついたところを挙げてみたい。

一つ目は、多彩な変化球を操る好投手が多かったことである。フォークボールやツーシーム、チェンジアップ、カットボールなどである。出場校数が増えていつもより多くの投手を見ることができたことも楽しみの一つだった。ただし、高校時代の大谷やマエケンは意識的にスライダーを投げなかったという。土台作りに専念するべきこの時期に、変化球の多用は今後成長が気になるところだ。

二つ目は、ヘッドスライディングのシーンが多く見られ、試合を盛り上げた点である。このプレーが多くのドラマを生んできたのは間違いないが、走塁方法としては果たして効率的だろうか。元プロ野球選手の桑田真澄さんは、先ごろプロ野球の解説の中で「スライディングはしない方がいい」と言っているのを聞いた。「成長期にある子供達は毎年骨や関節が伸びる。その段階でヘッドスライディングをすると、脱臼や骨折や突き指をする。イチロー君のヘッドスライディングは見たことがない」と。1塁へ走る場合は、ヘッドスライディングよりも駆け抜ける方が速いと聞いたことがある。

三つ目は、投手を起用する場合に、エース1人に頼るのではなくて複数の投手を継投させるやり方が増えてきたことだ。健康管理面から、大いに進めてほしい施策である。

戦術面からは、各チームの投手事情があるので一概にいうことはできないが、どちらの起用法が勝利に貢献するかについて、手元の新聞で調べてみた。2回戦から準決勝までで、勝ったチームと負けたチームの繰り出した投手数は後者の方が少し多かったものの、大差なかった。しいて言えば、消化が進むにしたがって勝利チームの方が投手数が少なくなる傾向がみられたが、サンプル誤差が大きいので評価するには無理がありそうだ。

そんな中で、昨日近江を破って準決勝に進んだ金足農の吉田投手が、5試合連続で先発し、日大三高の反撃を断ち切ったのにはおどろいた。このチームは、明日も吉田が先発すると思うが、投げ切ってほしいという期待と、継投で少し休ませたいという気持ちが交錯する。

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      (写真)元気に花をつけた百日紅


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# by hasiru123 | 2018-08-20 19:17 | 話題

とっくに立秋を過ぎたが、関東地方では晴れればとてつもなく暑く、日が陰れば蒸し暑い陽気の今日このごろである。

しかし、古の人はこの時期に能動的に秋の気配を感じ取っていたのである。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる

古今和歌集に収録されている藤原敏行の歌である。歌意は、「(立秋になっても)秋が来たと、はっきりと目にはみえないけれど、風の音で(秋の気配に)はっと気づいたものでした」。

「来ぬ」は「来た」という意味なので「きぬ」と読む。「おどろく」は、「びっくりする」ではなく、「はっと気づく」の意味で使われている。

小さなできごとにはっと気づく。そうやって、日々少しずつ驚いて、ある日突然驚かされることがないよう、心がけたいと思っている。なぜならば、8月13日現在で広島東洋カープは2位の巨人を11.5ゲーム引き離して独走しているからである。

8月中旬という時期で、2位とのゲーム差が11.5というのはびっくりするくらい大きい。しかし、3月末の開幕からの順位表を時系列に追っていくと、徐々に差が開いてきたことが分かる。「あっ、今日勝った」「また、勝った」という小さな驚きと興奮の積み重ねが11.5ゲームという開きにつながったのだと思う。

その反対の場合もある。たとえば、昨年のペナントレースだ。7月末には首位広島と2位阪神タイガースとのゲーム差は11あったのが、8月末には5.5に縮まった。また、8月8日には球団最速でマジック33が点灯したものの、8月31日時点では消滅している。これも、広島が勝ったり負けてりしているうちに、阪神が連勝を重ねて少しずつ差が縮まってきたためである。

こんな時は、黄信号を早く察知して、驚かされることがないよう、気をつけたい。そういう意味を込めた、自戒である。


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# by hasiru123 | 2018-08-13 20:17 | その他

弱った身体をいたわる

7月23日は、二十四節気の「大暑」だった。大暑のころは、日本では最も暑いと言われるが、暑さの本番はこれからで、8月上旬から中旬にかけてピークを迎える。

この日の朝、郊外を走っていたら東秩父の山並みがくっきり見えた。梅雨明けしたあと、ほとんど見ることはなかった稜線に思わず目をやった。日差しはあったものの、クリアに晴れ渡っていたわけではない。それだけ、空気が澄んできたということだろう。

暑い、暑いと言いつつも、少しだけ秋に近づいたのかと思うと、気分が安らぐ思いがした。大暑の中を毎日走るランナーにとっては、この「小さい秋」がうれしい。

そして、今日7月28日の天気予報では、八丈島の東約270キロにある台風12号が夜遅くから29日未明、勢力を維持したまま東海地方から紀伊半島に上陸する可能性が高くなった。普通であれば西から東へ通過する台風が、時計の針を逆進させるかのように反時計回りに進む見込みである。

台風は気象に思わぬ影響をもたらすようで、ここ数日間は最高気温が30度くらいの日が続いていた。暑いとはいえ日中の温度は30度までというのが、これまでの夏だった。猛暑に苦しんだ私たちにとって、ふつうの夏がいかに涼しく感じるかを教えてくれた。

夏の台風や低気圧が通過すると、気象の流れが変わるといわれる。昨年はたしか7月末の大雨の後、猛暑が落ち着いた記憶がある。それは、私の練習ノートの記録からもうかがうことができる。

そこで注意しなければいけないのが、暑さ疲れである。大量の汗をかいた後に冷たい水分や食品を摂り続けることで、消化器官のあちこちが弱っているはずである。食事を十分にとれなかった場合には、筋力やスタミナが落ちているかもしれない。

暑さに慣れてくるこの時期は、意識して走る量や質を押さえて、身体に優しいトレーニング(ランナーであれば、疲労回復ジョグなど)に徹する必要がある。


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# by hasiru123 | 2018-07-28 12:54

暑さ指数

今年の夏は、猛暑を超えて異常ともいえる暑さである。まだ、その出口は見えていない。

最近の天気予報でよく聞かれるキーワードに、「暑さ指数(WBGT)」というのがある。熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標である。

単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されるが、その値は気温とは異なる。暑さ指数は、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標だ。以上、環境省のウエブサイトから拾った。

同サイトには、暑さ指数が28℃(厳重警戒)を超えると熱中症患者が著しく増加することを示したグラフが例示されていた。暑さ指数31℃以上は「危険」で、28~31℃は「厳重警戒」レベルだ。たとえば、今日(7月22日)の東京都内は9時で31.4℃、14時は32.0℃だった。いずれも「危険」である。

今日の14時でもっとも暑さ指数が低かった地域は、北海道の留辺蘂で14.2 ℃ だった。1日の半分くらいが「危険」にある中で生活している身からは、暑さ指数14.2 ℃という数値は想像しにくい。

暑さ指数は労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、ISO等で国際的に規格化されている。スポーツ団体の(公財)日本体育協会では「熱中症予防運動指針」を下記のとおり公表し、警告を発している。

温度35℃以上で暑さ指数31℃以上は「特別の場合以外は運動を中止し、特に子どもの場合は中止すべき」としている。また、温度31~35℃で暑さ指数28~31℃は「熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。運動する場合には、頻繁に休息をとり水分・塩分の補給を行う。体力の低い人、暑さになれていない人は運動中止」としている。

そんな中で、先ごろ2020年に開催される東京五輪のマラソンで、スタート時刻を30分早めて朝7時とすると発表があった。東京の都心はヒートアイランド現象による気温上昇に加えて湿度も高く、選手及び観戦者、そして運営側のボランティアにとって過酷なレースとなりそうである。

9時はちょうど選手たちが市谷から四谷に向かう上り坂で、終盤のしのぎ合いを展開しているころだろう。ちなみに、今日9時の東京の暑さ指数では、31.4℃で「危険」だった。激しい運動や持久走を「避ける」レベルと「中止する」レベルの境界にあたる。五輪は「特別の場合」にあたるということなのだろうが、大変リスクの高い試みだと思う。

今からでも遅くはない。マラソンとロードで行われる競歩については、例外として冷涼な地に移すことを検討してはどうだろう。

札幌だと、今朝9時の暑さ指数は19.7℃で「安全」だった。選手や関係者には、「安全」なコンディションで競技を進めてほしいと願う。


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# by hasiru123 | 2018-07-22 20:31 | マラソン

各地で集中豪雨が続く中ではあるが、1泊2日でWGMの夏季合宿を行うことができた。合宿地である新潟県湯沢町地方は何とか天候が持ったのである。

今回の合宿は、いつもと違うものとなった。

例年走る当地の練習コースは起伏に富み、胸突き八丁と呼べるくらいの急な上りもあった。ひるがえって、今回はどうだろう。ほとんどフラットで、やわらかい土の道ばかりを走った。

その理由は、私の体調にある。日ごろの練習成果を問うつもりで臨んだのだが、身体ががそれに追いつかなかった。1週間前までは順調に練習を積むことができたのだが、その後の重なるアクシデントで、ほとんど走ることができなかったからである。

一つ目の故障は、早朝の練習中に左足の踝(くるぶし)下に痛みが走り、3キロ走った地点で休止せざるを得なくなったことである。2日間は歩行に際しても軽い痛みを感じ、しばらく様子を見ることになった。

もう一つのアクシデントは、足を痛めたその日に会議用の折り畳み机を持ち上げる際に腰を痛めてしまったことだ。歩行にはほとんど差し支えなかったが、しばらく椅子に座った後に立ち上がったり、運転が終わって車から出るのがつらかったりした。

それでも、中1日の休養をとったところ、両方とも痛みが消えてきたので、様子を見るために練習を再開したところ、ほとんど違和感なく走ることができた。これまでも、腰の故障は数日の休養で回復するケースばかりだったのでそれほど気にしていなかった。しかし、踝の痛みは長びくことが多かったため、こちらの方が心配だった。

練習から帰ってきてからがよくなかった。シャワーを浴びた後に急に腰が痛みだしたのである。この時点での試運転は、回復を急ぎすぎたための判断ミスだった。しばらくは、走ることを止めて体調の回復に専念した。

そんな中での合宿。1日目は、走れることができるかどうかを確かめながら宿舎近くのトラックでスロージョグ。ジョグと温泉浴を繰り返した。

2日目の早朝は、身体と対話するように約4キロをゆっくりジョグし、その後で温泉浴。腰の調子が上向いてくるのが感じられたため、合宿最後の午前の練習では、仲間との練習に参加してみた。暑さのために軽めの練習に切り替えられたのがよかったようだ。腰、足ともにほとんど違和感を覚えることなく走ることができた。2度目の試運転はまずまずだった、と自己評価している。

今年の7、8月は平年を越える暑さが予想されている。どのように走りこんだらいいのか、知恵と工夫が求められる夏になりそうである。ゆめゆめ体調管理を怠るまい。


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# by hasiru123 | 2018-07-09 07:27 | 練習

日本選手権から

今年の日本陸上競技選手権兼ジャカルタ・アジア大会選考会は、最終日に男子110mHと男子円盤投げで二つの日本記録が誕生した。そして、短距離では男子100mと200mに注目が集まり、レベルの高い競合に見入った。

さて、長距離の方では男女の10000mと女子5000mが見ごたえある展開だった。まず、初日の男子10000mは、8000m付近から飛び出した大六野秀畝(旭化成)が少しずつ後続を引き離して優勝を決めた。また、2位から4位は混戦だったが、4位に入った西山和弥(東洋大)は2年生ながら健闘した。今後が楽しみな選手である。

ただし、大六野はこの夏にマラソンを予定しているなど、今後東京五輪でマラソンを目指すことになろう。気になるのは、上位に入った選手はだれもアジア大会資格記録を突破している者がいないことである。アジア大会に出場するためには、今後開催される大会で「オリンピックスタンダード」等の内定基準を満たす必要がある。

女子10000mは、昨年の優勝者松田瑞生(ダイハツ)が31分52秒42で制した。先に仕掛けたのは鈴木亜由子(JP日本郵政G)だったが、最後の直線に入る前に鈴木を抜いてゴールした。松田は今年の大阪国際女子マラソンで好記録で初優勝した選手であるが、ラストの切れ味は見事だった。鈴木はまだマラソンを走ってはいないが、今後マラソンへの転向が噂されている。

このように男女10000mでは、マラソンで五輪出場を目指す選手で占められた。トラックからマラソンへ、といういい流れができつつあることを実感することができた。その一方で、トラックを専門に取り組む選手の層は大丈夫だろうかと、少し心配になる。

最終日に行われた女子5000mは、大方の予想どおり鍋島莉奈(JP日本郵政G)が2連覇した。今年は、日本歴代9位の記録をマークするなど好調なすべり出しを見せている。また、1位から6位までが6秒の中に入る混戦で、この種目の層の厚さを示している。


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# by hasiru123 | 2018-06-24 23:16 | 話題

老後の貯金

20年ほど前のこと。記録的な長寿で話題となった双子姉妹がいた。きんさん・ぎんさんである。きんさんは107歳で、ぎんさんは108歳でこの世を去った。

お二人ともよくテレビに出たり、コマーシャルをやったり、イベントなんかで忙しい人だった。名古屋の放送局のきんさん・ぎんさん係だった人が、「収入も多いはずなんです。それなのに、使っている形跡がない。どうしているんでしょうね、あのお金」。

彼は、直接本人たちに聞いてみた。ぎんさんの答えは、「老後のために貯金しています」(永六輔『二度目の大往生』から)。

このことを知った私は、「さすがに戦争をくぐり抜けた人らしいなあ」と浪費を慎む生活ぶりを思った。とっさの質問に、ユーモアある言葉で返すセンスにも感心した。そして、意外とケチだったのかも、と思ったりした。

百歳の人口が6万人を超えた今、きんさん・ぎんさんを改めて思い返してみると、先々のことを考えて生活を管理する冷静さと、これからもまだ生きていくよ、というエネルギーのようなものを感じる。これがあったればこそ、百歳を超えてもなお元気に生き続けることができたのだと思う。

加えて、戦争をはさんだこの百年を生きてきたきんさん・ぎんさんには、漠たる不安もあったのではないだろうか。お二人が亡くなった後の20年間には、様々な自然災害や事故、制度の崩壊など深刻な事態が続いている。高齢者層が逆ピラミッドの天井を形成しつつある中、全体の人口は減少傾向に向かいつつある。私たちは、まさに不安だらけの中で生きていると言っていい。「老後のための貯金」は、そのささやかな礎だったのかもしれない。


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# by hasiru123 | 2018-06-17 16:58 | その他

政府は12日、平成2018年版の「消費者白書」を閣議決定した。

これは、17年に全国の消費生活センターなどに寄せられた相談を、消費者庁が取りまとめたものである。「白書」によると、全体の相談件数は、前年より約2パーセント増えた。約300ページある中で、私が注目したのは以下の4点だ。参考になればと、要約してみた。

一つ目は、架空請求に関する相談の急増だ。前年から倍増し、07年以降で最多となった。全体の中でも、架空請求17.5%を占めている。これは、法務省等をかたる架空請求のはがきに関する相談が多数寄せられたためである。また、これまもであった「デジタルコンテンツ」に関する相談件数は増加しており、実在する有名事業者等をかたる電子メールやSMS(注1)を用いた架空請求の相談件数が多く含まれている。

二つ目は、インターネットや情報通信に関連するトラブルである。SNSが何らかの形で関連している相談は引き続き増加傾向にある。20歳代が最も多く、若者はSNSの利用頻度が高いことが影響していると考えられる。具体的な相談内容は多岐にわたる。例えば、SNS上の広告を見て「お試し」のつもりで商品を購入したところ、定期購入になってしまったというトラブルなどがある(注2)。また、20歳代以下の若い年齢層などでは、SNSで知り合った友人から誘われたことをきっかけにマルチ取引等に巻き込まれたといった相談も寄せられている。

三つめは、消費者が「売手」となる取引に関するトラブルである。最近の消費者トラブルの特徴として、消費者が事業者から物やサービスを「買う」場面ではなく、消費者が事業者に物やサービスを「売る」場面や消費者同士で物やサービスを売買する場面におけるトラブルが増加している。中でも、インターネットオークションやフリマアプリ(注3)・フリマサイトなどインターネットを利用した取引に関する相談が増加している。これらのサービスを利用する際は、個人間売買の特徴を理解し、サイト等の利用規約をよく確認しておく必要がある。

四つ目は、高齢者の「終活」に付け込んだ悪質な商法が目立っていることだ。例えば、不要品を整理・処分しようとした際の訪問購入に関するものや、かつて原野商法の被害に遭い所有している山林を整理・処分しようとした際の原野商法の二次被害に関するものなどである。原野商法とは、ほとんど無価値で将来の値上がりの見込みがほとんどない土地を、値上がりするかのように偽って売りつける商法のことを言う。過去に原野商法の被害に遭い、土地を所有している人に、「土地を高く買い取る」などと虚偽の説明で勧誘し、新たに高額な契約を結ばせる二次被害が増加している。トラブルの未然防止・早期発見のためには、周囲が高齢者に寄り添った見守り・声掛けを行うことが必要だ。

なお、消費者庁「消費者意識基本調査」(17年度)によると、この1年間に何らかの消費者被害・トラブルを受けた経験があると回答した消費者の割合は、9.5%。この結果から消費者被害・トラブル額は「既支払額(信用供与を含む。)」ベースで約4.9兆円になると推計している。

(注1)メールアドレスではなく携帯電話番号を宛先にして送受信するメッセージサービス(同白書から)
(注2)例えば、「1回目90%OFF」、「初回実質0円(送料のみ)」などと通常価格よりも低価格で購入できることを強調した広告で、「4か月以上の継続が条件」、「定期購入期間中は解約できない」など低価格で購入するための条件や支払総額などの契約内容が、他の情報より小さい文字で表示されていたり、別のページに表示されていたりするなど消費者が認識しづらい場合が多くなっている(同白書から)
(注3)オンライン上で実際の「フリーマーケット」のように出品、購入ができるアプリケーション。手軽に利用できる一方、トラブルも報告されている(国民生活センターのウエブサイトから)


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# by hasiru123 | 2018-06-15 19:56 | その他

アクセルとブレーキ

走る推進力を生むために使われる「アクセル筋」と、動きを制御するための「ブレーキ筋」あって、それぞれがうまく機能することが大切だ、という話を聞いたことがある。

アクセル筋とは、ハムストリングスと言われる太ももの裏側の筋肉で、ブレーキ筋とは、大腿四頭筋と言われる太ももの前側の筋肉をいうのだそうである。

もし、大腿四頭筋が優位的に働いたり、ハムストリングスを上手く使えなくなったりすると出力の低下や足元にも余計な力が伝わって、外反母趾や偏平足などのトラブルの原因につながるとも言われている。長年外反母趾に悩まされている私などは、このケースにあたるかもしれない。

そして、日ごろの練習にもアクセルとブレーキがある、と思うこのごろである。この場合のブレーキとは、フットブレーキではなくエンジンブレーキの役割に近いだろう。

というのは、最近練習の量や質が一定のレベルを超えると、くるぶし付近に軽い痛みが発症することがある。そのとき、走る距離を抑えたり、休養を入れたりすると痛みが軽減されたり、解消したりすることをたびたび経験するからだ。

距離を抑えたり休養を入れたりすることは、エンジンブレーキの働きに近い。そして、練習の量や質を高めていくことはアクセルである。走ることをしばらく中断せざるを得ない事態に遭遇することは、フットブレーキであろう。

くるぶし付近に現れる痛みは、からだの疲れや悲鳴のようなものを早期に知らせる信号機だ。このシグナルが見えなくなったらと思うと、痛みを感じることができるわが身に感謝しなければいけない。

ランナーのからだは、アクセルやブレーキを使い分けながら走り続ける車のようである。


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# by hasiru123 | 2018-06-03 20:41 | 練習

アメフト事件

テニスのベスト4をかけた試合で、追い込まれた選手がコーチに助言を求める。「コーチ。つぎはどうしましょう」。コーチは、細かいことを言うのではなく、「それはおまえの体におしえこんである。(中略)それで勝てないような訓練はしていない」。

もうダメだと諦めかけたときにこの言葉を聞いた選手は、生き返る。山本鈴美香の漫画『エースをねらえ!』に登場する宗方コーチと選手の岡ひろみとのやり取りだ。

「しびれるようなコメントだ。優れたコメントは、それを言われた瞬間だけでなく、そのあとから効いてくる」と、齊藤孝さんは書いている(『コメント力』ちくま文庫)。さらに、このように『エースをねらえ!』には、気持ちをふるいたたせるさまざまなコメントがあふれていると、絶賛している。

宗方コーチとは対極の「選手の気持ちからやる気をそぐ指導」に熱を上げている監督やコーチがいる。日本大アメリカンフットボール部の悪質なタックルをめぐる指導者の責任問題だ。タックルをした側の選手が5月22日、記者会見をした。事実を明らかにすることが償いの第一歩だして、「相手を潰してこい」という指導者からの指示があったことを自らの口で明言した。

この選手は「厳しい環境に身を置き、徐々にアメフト化が好きではなくなった」と心情を明かした。自主的にかかわれない活動に楽しさがあるはずがない。当該の指導者たちは「相手を潰す」前にチームの選手を潰していたと言えまいか。

アメフトは、攻守がきっちり分業化され、野球以上にアメリカナイズされた競技だ。日本の古い体育会的な体質とは相容れないスポーツというイメージがどこかにあったが、認識不足であることに気づかされた。


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# by hasiru123 | 2018-05-27 23:38 | その他


先ごろ、私が参加している消費者団体(NACS東日本)の研究発表論文集に、<あなたは「パーム油」をご存じですか>と題した一文を寄せた。埼玉県に住む会員で構成される分科会の10名のメンバーが作成したものである。

「パーム油」は、アブラヤシの果肉や趣旨からつくられる油である。近年、世界で最も多く消費される植物油で、生産量も増加の傾向にある。そして、わが国でも大量に消費されるようになった。意外と知られていないことだが、日ごろ私たちが利用するスーパーマーケットにある商品の半数近くにはパーム油から得られた油脂やその派生物が使われている。食品ではマーガリンや即席めん、マヨネーズなどからチョコレート類、スナック菓子、アイスクリームに至るまで、そして食品以外でも石鹸や洗剤、塗料、化粧品、などの日用雑貨品でも幅広く使われている。

パーム油の原料となるアブラヤシは8割以上がインドネシアとマレーシアで生産される。急激な農園開発で熱帯雨林の減少や焼き畑による火災、先住民族が住まいを失うといったさまざまな環境問題が発生した。

昨年5月、私たちは「持続可能な社会に関する研究」の中で「エシカル消費の推進と企業の社会的責任」をテーマに発表を行った。その後も継続的に「エシカル消費」の視点で、月例会を行ってきた。その中でいちばん関心の高かったテーマが「パーム油」だった。エシカル消費の流れを踏まえ、栽培から消費までを、消費者目線で考えることが本研究のキモである。

「エシカル消費」という言葉は聞きなれないかもしれないが、国の「消費者基本計画」では「環境や被災地の復興、途上国支援など社会的課題に配慮した消費を促す」とされている。ちなみに、東京五輪で調達する物品も持続可能なものを選ぶという取り組みがすでに始まっている。

世界は持続可能な脱炭素社会の構築に向けて動き出しているが、日本はSDGs(国連の持続可能な開発目標)や脱炭素化の取り組みで、世界の潮流から大きく後れを取っている。エシカル消費の視点からなされる様々な活動が周回遅れを取り戻すことにつながればと考える。

そんな折、パーム油の野放図な大量生産に伴う環境破壊への理解を深めてもらおうと、東京都内の学生グループらが5月19日と20日に横浜市でゲーム形式のイベント「動物たちの楽園 ズーラシアに眠るパームの実を探せ!」を開催すると毎日新聞のウエブサイトが報じていた(5月15日)。このイベントでは、アジアゾウなど熱帯に生息する動物を観察しながら謎解き形式の問題に30分間取り組んだ後、グループのメンバーらが持続可能なパーム油の生産や消費について分かりやすく解説してもらえるとのことだ。

私たちと地球の未来を考える上で、企業と消費者、行政に対してパーム油への関心が広がることを切に願う。

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    (写真)新緑みなぎる国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県滑川町)



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# by hasiru123 | 2018-05-16 19:51 | その他

日本の女子選手で、世界で初めて「トリプルアクセル(3回転半)」を飛んだのはフィギュアスケートの伊藤みどり選手。それでは、史上二人目のトリプルアクセル成功させた米国の選手は、と聞かれるとすぐには思い浮かばないかもしれない。

しかし、「ナンシー・ケリガン襲撃事件」に関わったとして元夫が逮捕され、本人も関与を疑われフィギュアスケート界から永久追放された選手といえば、ご存知の方もおられよう。そう、トーニャ・ハーディングだ。

1994年のリレハンメル五輪の出場権がかかった全米選手権大会の前日にハーディングのライバルであったナンシー・ケリガン選手が襲撃された。「アイ、トーニャ」は、この事件を題材にした映画である。

ハーディングやその母親、元夫らへのインタビュー(俳優が演じている)を中心に物語が進められ、ドキュメンタリー風に仕上がっている。幼い時から母親に虐げれれ、夫からは日常的にDVに遭い、なかなか極貧から抜け出せないでいた。そんな中で、スケートの猛練習を積んで五輪の代表にまで上り詰める。そこへ転がり込んだのが、この事件だ。

ところが、米国の格差社会から抜け出したヒローインになりかけたお話とはならないところが、面白い。今でいう米国の下層に拡大する「ホワイト・トラッシュ(貧乏白人)」であるにもかかわらず、悲惨さとか暗さがない。見終わった後の、この乾いた不思議な感覚は何だろうか。

夫からのDVや母親からの口汚いののしりをくすっと笑ってしまう暖かさかもしれない。あるいは、フィギュアをやめた後にボクシングを始めるしたたかさ、か。主演のマーゴット・ロビーの演技力とスケーティングも光った。この国にも広がる格差社会とMeToo運動を、冷めた目で見つめる格好のテーマだと思う。


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# by hasiru123 | 2018-05-06 20:42 | その他