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『マラソンランナーになろう』を読む

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このほど、ランニング学会がビギナー向けに基礎知識をまとめた小冊子を発刊した(おそらく非売品)。ランニング学会と賛助会員である大塚製薬の協力を得て作成にあたったものだ。章立ては以下のとおり。

STEP1>>走る準備、できていますか?
STEP2>>走り出せば、楽しさいっぱい
STEP3>>ランニングと安全管理
STEP4>>トレーニングの種類、方法と効果
STEP5>>トレーニングと回復
STEP6>>レースへの参加、挑戦
(以下、解説記事として)
ランナーらしい体型を求めて
水分補給の注意点
ランニングと免疫
ランナーのコンディショニングにBCAA
ランニング手帳

どれも短い解説で、平易に書かれている。ただし、長年走り続けているランナーでもあまりなじみのない新しい用語も目に付く。例えば、STEP4の中に「ヤッソ800」とか「LTペース走」などが出てくる。

「ヤッソ800」は、「トラックで800mを10回、3分で走れると、マラソンが3時間で走れ、5分で走れるとマラソンのゴールが可能」というものだ。リカバリー(各本数の間)は800mを走ったものと同じ時間で400mをジョグする。単純明快な方程式だ。アメリカのランニング雑誌『ランナーズワールド』編集者、バート・ヤッソさんが考案したものだそうだ。わが国では雑誌「ランナーズ」4月号に豊岡示朗さん(大阪体育大学教授)が詳しく紹介しているので、ご覧になった方も多いと思う。

「LTペース走」というのは、「少々きつい」「呼吸がはずみ始めた」と感じる速度で5~15分ほど持続するスピードトレーニングである。10kmやハーフマラソンの持ちタイムとダニエル表という対比表に表されたLTペースよりワンランクの速度で取り組むもの。有酸素運動と無酸素運動の境界点で走ることによって、スピード力を高めることができる。インターバルトレーニングより強度が緩やかなので、ビギナーのスピード練習に向いている。

また、独立した解説記事の「ランニングと免疫」では、ランニングによってよく発生する「風邪症状」と風邪ウィルスとの関係に触れている。自らもランナーであるNieman博士の調査結果から、ランニング後の風邪症状は感染症とは関係ない可能性があるとしている点は大変興味深い。そのほかにも、BCAA(バリンを始めとする3つの必須アミノ酸)とパフォーマンスとの関係や、ランニング手帳の使い方なども大変参考になった。

ランニング学会は定期的に「ランニング学研究」などの学術誌を出しているが、本書はそういった硬いものではない。むしろ、ランナーなら誰でも知っていてもらいたい基本的な情報が簡潔に書かれている。これで十分というわけではないが、これらの用語の一つ一つを雑誌やインターネットなどで補完することによって、自分のもなるだろう。
by hasiru123 | 2009-09-13 21:36 |