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もう一つの日本選手権

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陸上競技は、日本選手権が先週終了したが、今後インターハイ、全日本インカレ、全日本実業団、そしてアジア大会へと続く。そんな中で、大会とは別の領域で活躍する選手たちがいる。

資金不足に苦しむマイナー競技の選手を支援しようと、陸上男子400メートル障害の為末大(APF)ら五輪選手が集まって、6月に一般財団法人(注)を設立するという記事を読んだ(4月24日日経)。

もし実現するとしたら、現役選手たちの手で次世代の若手を支える組織を作るということで、これまでにない新しい取り組みだ。スポーツ界はいま、不況の影響をもろに受け、アルバイトをしながら五輪を目指す選手もいると聞く。こうした選手を助けようと立ち上がった。

初年度は1選手に300万円を上限に援助実現を目指すとのことだ。選手自らがお金を出し合った上で企業から協力を求める仕組みが、どこまで効果を発揮できるかポイントとなるだろう。この新しい試みに注目したい。

もう一つは「女性の身体と競技を考える」と題したシンポジウムについての記事である(6月1日毎日)。

陸上女子円盤投げ、ハンマー投げの日本記録保持者である室伏由佳(ミズノ)が、フィールド外で勇気ある一歩を踏み出した。今年3月、女性特有の病気への不安、悩みを抱えながら競技を続けた体験をシンポジウムで告白した。「同じように悩んでいる人と思いをシェアし、競技と健康の両立を目指したい」。

 室伏は7年前から原因不明の月経時の痛みが続いた。食事も満足に取れずに、痛みをこらえて競技を続けた。その後、子宮内膜にできたポリープを切除し、04年にはアテネ五輪に出場。09年3月に再び耐え難い激痛に襲われた。卵巣がチョコレート色に腫れ上がる「チョコレート嚢腫(のうしゅ)」と診断され、その年の11月に手術。その後は痛みに目を背けず、体調を最優先に調整し、今春競技に復帰した。

女子選手は病気を男性コーチには打ち明けにくく、理解されにくいケースも多い。シンポジウムで、室伏はこうした体験を丁寧に説明した。選手やコーチが病気の正しい情報、知識を共有することによって、悩んでいる人への突破口になれば、というのが室伏の願いだ。なお、室伏は先週行われた日本選手権では、見事2種目を制した。

これらの活動で共感したのは、選手自身の悩みは選手間で共有し、自ら解決に向けて積極的に関与する姿勢である。競技場の外での活動にも注目し、ぜひ応援したい。

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(注)平成18年に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」により、営利を目的としない社団法人及び財団法人については,一定の基準を満たせば誰でも設立を認められる準則主義を採用することとした。 

(写真)平成20年8月に行われた埼玉インターハイ
by hasiru123 | 2010-06-13 22:11 | その他