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川越市立博物館の企画展から

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2年ほど前に、川越市役所前から国道254号線へ向かう市道三田城下橋線が拡張・整備された。その途中に川越の中ノ門跡がある。昨年4月に、堀跡についての発掘調査を経て整備されたものだ。明治維新後に城内の様々な建造物が取り壊される中で、この堀は奇跡的に残されていた。
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「武蔵国川越城図」(市立中央図書館蔵)を見ると、他の2条の堀と連携して敵兵の進路を妨げる役割を果たしていることがわかる。また、宝暦12年に作成されたとされる「川越城図」(同蔵)では、南大手南側の土居(土塁)2ヶ所と中ノ門付近の土居1か所が崩れ、堀が埋まっている。その修復をするために幕府に願い出た際に作成されたものだ。当時は、城の修復には幕府の許可が必要で、破損があると、修復許可願と図面を添えて幕府に提出したと、川越城本丸御殿竣工記念第35回企画展「川越城―描かれた城絵図の世界-」展示図録の解説にある。

川越城の姿を知る手掛かりは、現存する数十点の城絵図である。この企画展では、静嘉堂文庫を始め、岡山大学附属図書館、東北大学附属図書館、国立公文書館など全国各地に保存されている川越城関連の城絵図を集めた。今に伝える貴重な史料だ。

今回の企画展の特長の一つとして挙げられるのは、7種の「主図合結記」が展示されていることである。「主図合結記」というのは、江戸時代の城郭絵図集で、全国各地にその写本等が保存されている。展示の解説では、「榎本弥左衛門覚書」の記述と「武州川越城図」などと比較しながら、「主図合結記」の検証を行っている。これらの城絵図を一堂に会して見られるのは、この機会をおいてはないであろう(企画展は、3月26日から5月8日まで開催)。
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(写真上)本丸御殿の正面
(写真中)整備される前の中ノ門内の堀跡(2009年4月)
(写真下)展示図録
by hasiru123 | 2011-04-17 23:59 | その他