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帝京ナインに残したもの

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多くの人が、帝京の勝ちを疑わなかっただろう。3対0でリードした9回表の守りで、1アウトの場面だ。八幡商にまさかの逆転負けを喫した。試合後、甲子園で通算51勝した前田三夫監督いわく「これが甲子園か」(8月14日毎日)。

帝京のエース・伊藤拓郎(3年)はこの日、登板することなく、1塁手を務めた。3回戦を考えて温存されたとのことである。前田監督はこの試合の先発投手に2年生の渡辺隆太郎を充てた。

渡辺は、逆転満塁本塁打を打たれた9回表の一球を悔やみ、試合後終始泣き続けた。「3年生がずっとがんばってきたのに、自分が最後に打たれて負けてしまった」「今は何も考えられません」。渡辺君はずっとうつむいた。しかし、8回までは八幡商に二塁を踏ませない好投を続けた。その素晴らしい投球は、4万7千人の大観衆をうならせた。力は十分に発揮し、次の大会につながるマウンドだった。

帝京は、春夏合わせて全国制覇を3度やっていて、今年も優勝候補の一角を占めていた。優勝したい、優勝して当然。そんな気持ちから、ナインが勝ちを意識しすぎたかもしれない。渡辺にとっては、「野球は最後までわからない」ということをいやがうえにも教えられた1球だったにちがいない。勝負には勝ちか負けしかないが、大観衆を前に試合の命運を決定付づける1球を投じることができたことに、選手たちは誇りを持ってほしい。歴史に残る大試合を演じることにめぐり会えたナインは、つくづく幸せだと思う。

そして、勝利にはつながらなかったが、前田監督の「3回戦を考えてエースを温存させた」判断は決して間違っていない。長い不調に苦しんだ伊藤を無理して使わなかった英断を誇っていよい。


(写真)我が家の百日紅。7月中旬から花をつけ始めた。
by hasiru123 | 2011-08-14 23:41 | その他