2013年 12月 23日
苦しまずに42.195キロを走る5ヶ条(2)
今回は、「第2条 練習で、エネルギーが枯渇する体験を踏む」について。
前回、「10キロくらいの練習を何回繰り返しても、マラソンに必要な超持久力はなかなかつかない」と書いた。たとえ、1回の走行距離が10キロくらいだったとしても、それを繰り返し行なっていけば、スピード力や持久力がついてきて、10キロどころか15キロや20キロと少しずつ長く走れるようになるのではないか。そう考える方は多いのではないか。
たしかに、トライアル回数を増やしていくと、超回復機能が働いて、10キロ以上の距離を楽に走れるようになっていくことは、多くのランナーが経験的に知っていることだと思う。10キロがしっかり走れるようになれば、1時間以上楽に走れるようになる。しかし、フルマラソンは、10キロの4倍以上の距離がある。3時間から4時間、あるいは5時間以上も走る超長距離の世界だ。
10キロ前後を走るだけでは、その4倍以上の距離を走り続ける力は生まれない。エネルギーの限界を超える苦しさを体験することでマラソンに必要な超持久力が身につく。これを、1度でもいいから経験して本番に臨む必要がある。練習でこの苦しさを体験しておけば、本番への自信につながるし、オーバーペースを防ぐのに大いに役立つ。
マラソンは短距離走と違って、後天的な要素が大きい競技だ。初めから、42.195キロよりも先にエネルギーが枯渇する地点があればいいが、ふつうはそれよりも前の地点に障害として立ちはだかっていることが多い。練習で、障害物を超える体験をしておくことはとても大切なことだ。そして、その地点を少しでも先に持っていく。
ただし、決してスピードを負わないことである。マラソンに必要な持久力は、スピードからは生まれないだからだ。ゆっくり、長い時間をかけて、長距離を踏むことである。
それでは、その障害はどの辺にあるのか。長い距離を走った経験のない人にはどの地点を指すのか見当がつかないかもしれない。ある人はマラソンのおよそ半分、すなわちハーフ(約21キロ)の地点だったり、ある人はハーフを少し過ぎた25キロあたりだったりと、人によって様々だ。
初めて、障害となる地点を捜すにはこんな方法がある。友達とおしゃべりしながら走れるくらいのペースでゆっくり走り出してみよう。歩くよりも少し速いくらいのペースだ。徐々に体が暖かくなり、うっすらと汗がにじんでくる。それでも、まだ話しながら走り続けることができる。もしかしたら、このペースならいつまでも走り続けられるのではないか・・・。そんな気分にさせる、ゆったりしたペース。よく言われる「ランニングハイ」だ。
しかし、そんな幸せな気分もいつまでも続かない。だんだん、発汗量が増えて、友達との会話が少なくなる。そのうち、互いに黙ってしまう。徐々に、体が重くなり、走ることがいやになってくる。呼吸が苦しいわけではないが、空腹を感じて、力がなくなってくる。そんな地点が、この障害である。
それでは、この地点を先延ばしするにはどうしたらいいだろうか。先延ばしすることは、走力の向上につながる。それを、これから考えてみたい。