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苦しまずに42.195キロを走る5ヶ条(3)

さて、「第3条 毎日10キロずつ走る月間300キロよりも、5キロの日もあれば30キロの日もある月間300キロの方が効果が高い」について。

長い距離をくり返し走っていくと、少しずつ走る距離を伸ばしていくこができる。しかし、どこかで「体が重くなり、走ることがいやになってくる」という障害に出会う。この障害が、練習ごとに先へと伸びていけばいいが、いつか毅然と立ちはだかって、乗り越えられないことが出てくるだろう。そうなると、次の練習が負担に感じ、取り組む意欲がなくなってしまう。

そんな時には、気分転換をしてみるとよい。マラソン練習といっても、毎回のように持久的なトレーニングを行う必要はない。短いジョグを入れたり、徐々にスピードを高めていくビルドアップ走をやってみたりと、内容を変えてみる。緩急、距離の長短、強弱、練習頻度の多少、など様々な変化をつけてみる。さらに、発想の転換も必要である。これまで長い距離を走るときにいつも「距離」を意識してきたのであれば、今度は「時間」を意識して走る。

普通の持久的な練習では、公園の周回コースであれば何周しようとか、ロードであればどこまで行って帰ってこようとか、何キロのコースを何往復しようなど、目標を決めてから走るだろう。マラソンは42.195キロという長丁場だから、どうしてもマラソンの距離の半分を走ったとか、3分の2まで走れたとか、「距離」の感覚が頭から離れないのはやむを得ないことかもしれない。しかし、このやり方には「何キロ走った」という距離で満足してしまう限界が潜んでいる。これは、「距離」の発想である。

一方で、トラックの外周を1キロ何分ペースで60分走ろうとか、公園の中をゆっくり2時間は走ろうというのは、「時間」の発想である。同じ60分走でも、歩くよりも少し早いくらいのゆったりペースで走るのと、ペースの変化を入れて走るのと、終盤に追い込むようなペースに上げて終わるのと、ペースを上げたり落としたりしながら全体として徐々に上げていくスピードプレイのような走り方とでは、その練習効果はかなり違う。日頃から練習内容に変化をつけていると、ストップウオッチで正確にペースを計るわけでなくてもペース感覚は自然に身についてくる。ゆっくり走る時間を伸ばしていけば、知らないうちに長い距離が踏めるようになる。

実を言うと、「時間」で走るというのは、ゆったりペースであっても、結構大変なのである。長い時間が経過してくると、ウォッチを見ながら「あと1時間走る」「あと30分走る」などという時間の感覚が負担に感じられることがある。もっと早く走って、あと何周して早く練習を終わらせたいという気持ちになりがちである。単調で退屈かもしれないが、「速く走らない」練習だと思って、ここは我慢のしどころだ。

ある意味で大変ではあるが、「距離」を忘れて長い時間かけてゆっくり走ることは疲労を抜くいい練習になる。この練習を意識的に取り入れて、疲労を蓄積させないようにする。これは、長い目で見るとおおきな効果を発揮する。このプロセスをスキップして距離を伸ばすことはできないからだ。

速く走るためにゆっくり走る。長い距離を踏むために、短い距離の練習も無駄にしない。体のためなると思って、練習に変化をつけるときは「時間」を意識して取り組んでいただきたい。


by hasiru123 | 2013-12-29 19:22 | マラソン