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ESなくしてCSなし

NACS埼玉分科会の定例活動で、埼玉県川越市にあるK病院を訪問した。消化器を専門に医療活動を行い、消費者志向優良企業表彰(1998年、経済産業省)や日本経営品質賞(2011年、経営品質協議会)など数々の表彰を受けている。

小会の会員でこの病院に勤務するOさんの協力を仰ぎ、企業訪問の一環として実施したものである。

この病院では常日ごろ顧客(患者)を「患者様」と呼んでいる。掲示されていた「患者様権利憲章」には「かけがえのない生命と健康を守る」ために、7項目の理念をうたっている。また、見せていただいた「経営品質報告書」によると、患者のCS(顧客満足)と従業員のES(従業員満足)が病院の全国平均よりもかなり高いことが分かる。

Oさんは「ESを基点にしてから病院の風土が変わった。たとえば、医師は周りの変化に気づき、患者の方向を向いて行動するようになった」と話す。

これらの結果を表す指標に、病院が実施している患者満足度調査がある。20年来継続して行い、経年変化をとらえている。「調査項目はほとんど変えずに、数字よりも質を追うように努めている」という。この種の調査はややもすると、回を重ねるごとに調査項目を追加したり変更したりして、結果として時系列の変化をとらえられなくなるという失敗に陥りがちである。「調査項目を変えない」というベンチマーク調査の基本に徹している姿勢は重要だ。

CSあるいはESの向上については、いま要介護者の増加と介護職員の慢性的な不足に悩む介護事業の取り組みにも示唆を与えるのではないか。Oさんに伺ってみたら、昨年の日本経営品質賞は鳥取県の社会福祉法人が受賞するなど介護産業にも新しい動きが出ているとのことだ。「ESなくしてCSなし」というK病院の経営哲学が、様々なサービスを提供する企業や機関に浸透することを期待したい。

私ごとであるが、この病院とは胃の内視鏡検査で30年来のおつきあいである。内視鏡は日々進歩し、小型化して食道を通りやすくなってきたが、いつになっても好きになれない。食堂や胃に光を投射するなどして、もっと物理的に簡便な投影方法が開発されないだろうかと思っている。
by hasiru123 | 2015-03-02 06:48 | その他