夢のマラソン

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森脇康行です。             LSDから始めるランニングの世界を追求します。コミュニケーションを大切に、そして健康に注意しながら走っていきたいと思います。

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老後の貯金

20年ほど前のこと。記録的な長寿で話題となった双子姉妹がいた。きんさん・ぎんさんである。きんさんは107歳で、ぎんさんは108歳でこの世を去った。

お二人ともよくテレビに出たり、コマーシャルをやったり、イベントなんかで忙しい人だった。名古屋の放送局のきんさん・ぎんさん係だった人が、「収入も多いはずなんです。それなのに、使っている形跡がない。どうしているんでしょうね、あのお金」。

彼は、直接本人たちに聞いてみた。ぎんさんの答えは、「老後のために貯金しています」(永六輔『二度目の大往生』から)。

このことを知った私は、「さすがに戦争をくぐり抜けた人らしいなあ」と浪費を慎む生活ぶりを思った。とっさの質問に、ユーモアある言葉で返すセンスにも感心した。そして、意外とケチだったのかも、と思ったりした。

百歳の人口が6万人を超えた今、きんさん・ぎんさんを改めて思い返してみると、先々のことを考えて生活を管理する冷静さと、これからもまだ生きていくよ、というエネルギーのようなものを感じる。これがあったればこそ、百歳を超えてもなお元気に生き続けることができたのだと思う。

加えて、戦争をはさんだこの百年を生きてきたきんさん・ぎんさんには、漠たる不安もあったのではないだろうか。お二人が亡くなった後の20年間には、様々な自然災害や事故、制度の崩壊など深刻な事態が続いている。高齢者層が逆ピラミッドの天井を形成しつつある中、全体の人口は減少傾向に向かいつつある。私たちは、まさに不安だらけの中で生きていると言っていい。「老後のための貯金」は、そのささやかな礎だったのかもしれない。


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by hasiru123 | 2018-06-17 16:58 | その他