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クロカン(3)

  走る技術 

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クロカンを走るときにはどのようなことに気をつければよいでしょうか。

<練習のスタイル>
一つは、やわらかい地形を生かして「LSDとして走る」方法があります。トラックの周回コースやロードでのブロック単位の周回と異なり、自然の変化に富んでいますから飽きることがありません。アップダウンがあるので、ペースを上げなくても心肺機能に負荷がかかり、平地で行うLSD以上に心肺機能の強化を図ることが可能です。練習後でも、平地でのスピード練習に比べて疲労感が残りにくい特徴があります。

二つ目は、 「ビルドアップ的に走る」方法です。平地に比べて、わずかのビルドアップでも心肺機能に負荷がかかりますから、調子の引き上げを図りながら心肺機能の強化をねらった練習を兼ねることができます。

いずれにしても、自然の地形の中で走るため、厳密なタイム管理には不向きです。タイムやペースを気にしないで気楽に走りましょう。クロカンは、マラソンの走り込み初期やトラックシーズイン前の基礎練習期などで、タイムを気にしないでじっくり走る練習に向いています。

<クロカンの走り方>
上りと下りとでは、走法が大きく異なります。そこには、100メートル走と5000メートル走、あるいは野球とサッカーに匹敵するほどの違いがあります。その違いは以下のとおりです。

①上り
・腕振りを大きくする。意識してひじを後へ引くのがポイント。前へ出すのとは反対の動きをとる――腕を前へ出すとバランスを崩し、前へ進む推進力を妨げる
・踵を大臀筋の方へ引きつけながら大腿を上げる――踵をひきつけることによって自然に膝が上がる。意識して膝を上げようとしないことが大切
・ストライドを小さくして確実に前へ足を進める――勾配が大きくなるにしたがってストライドが小さくなるのは自然の働きで、無理をしてストライドを大きくしない。小さいほど、少ない負荷で前進することができる
・着地したときに腰が落ちないよう、腰高を意識する――そのためには腹筋力が必要だが、クロカンを行うことによって腹筋力がつくという逆効果もある

②下り
・足の裏全体に体重をかけ、足の裏全体で蹴る
・着地からキックまでを、膝のばねを利かしながら進めていく――疲労してくると膝のばねが利かなくなるので、無理をしてスピードを上げない
・加速をコントロールしないと走力を越えたスピードとなり、バランスをこわしやすい――加速をしなくてもスピードを体感できるというメリットとのトレードオフの関係である
・加速を抑えすぎると膝に負担がかかるとともに、スピード効率を落とす(故障を招きやすい)――加速をコントロールするのは難しい。クロカンやトレイルランでの故障のほとんどは下りで起こっている
・ストライドは自然と大きくなるが、大きすぎないよう注意を(意識しないと大きくなり、バランスをこわす)

<上りに強い人と下りに強い人>
このような上りと下りの走法の違いから、ランナーには上りを得意とする人と苦手とする人に分かれます。上りを得意とする人の多くは下りを苦手とする傾向があります。上りが苦手の人は、その反対に下りを得意とする傾向が見られます。

上りを得意とする人はピッチ走法でスタミナ型、マラソン選手に多く見られるタイプです。練習の工夫と努力で、不得意を得意に買えることが可能です。下りを得意とする人はストライド走法でスピード型、トラック(特に中距離)選手に見られるタイプです。からだの柔軟性や持っているセンスも関係するため、誰でも努力すれば得意科目になるとは言いがたいものがあります。下りだけのコースを使用したレースはあまりありませんから、下りを集中的に走ることは避けたほうがいいと思います。箱根駅伝で、山上り(5区)で活躍した選手や山下り(6区)で活躍した選手の、大学卒業後の実績を追ってみると、そのような傾向が見てとれます。

<クロカンを走るときの注意点>
大きな集団で走ると足元の段差などに気づかないで、転倒したり、捻挫したりする故障の危険があります。一方では、一人で走ることは、コースをよく知らないと、途中で道に迷い、遭難とまではいかなくとも、後戻りしたり、道を探したりで、練習が中断されることが考えられます。クロカンは、数人程度の少人数で行うのが安全かつ練習効果が高いと思います。
by hasiru123 | 2006-06-25 20:24 | 練習