2006年 10月 01日
しっかり走るための栄養とは何か(2)
マラソンというスポーツは、大量のエネルギーと使うだけでなくからだの細胞そのものを消耗する、大変過激なものです。したがって、健康を保ちながらマラソンを走るということはそもそも矛盾する行為なのです。それでも、楽しみながら走りたいというのであれば、それなりの「備え」をしなくてはなりません。
「備え」とはすなわちトレーニングであり、食事であり、睡眠であるわけです。これらの日常生活上の行為が、マラソンを走るためのからだ作りにつなげていく必要があります。栄養についても、マラソンを意識した食事を心がけなければなりません。
ところが、建前では上記のとおりなのですが、ランナーのための特別な食事メニューがあるわけではありません。基本は、普通の人にとって必要な栄養はランナーにとっても欠かすことができません。普通の人が摂るべき栄養の土台があって、マラソンのための栄養があると考えるべきでしょう。この土台が作れない人は、マラソンを走ろうとは考えないでいただきたいと申し上げます。したがって、しばらくは走る人に限らず誰もが心がける必要がある栄養について書いていきます。
日常生活のエネルギー源は糖質と脂質だが・・・
たんぱく質と糖質(炭水化物)、脂肪は3大栄養素といわれます。マラソンに限らず、日常生活を維持していくエネルギー源だからです。ところが、たんぱく質は糖質と脂肪が十分に摂取されていればエネルギー源として使われることはありません。したがって、エネルギー源という意味からは、糖質と脂質であるといえるでしょう。しかし、脂肪は単独ではエネルギー源として燃えません。ビタミンB1とビタミンB2という栄養素の力を借りないと効果を発揮しないのです。また、脂質の代謝にはパントテン酸というビタミンの一種である栄養素が使われます。
ビタミンB1は、胚芽や豆類、豚肉などから摂ることができ、ビタミンB2は牛乳や卵、緑黄色野菜などから採ることができます。また、パントテン酸は穀類や豆類、魚介類などから補給することができます。
このように、各栄養素はそれぞれお互いに影響を及ぼしあって効果を発揮しています。したがって、栄養効果を発揮するためにはバランスのとれた食事がとても重要なのです。
(注) 橋本勲「グッドコンディションのための「食」」(学習研究社『最新ランニング技術百科』改訂版)を参考にしました。