先のボストンマラソンで、男子は川内優輝(埼玉県庁)が2時間15分58秒で初優勝した。日本では、1987年大会で瀬古利彦が優勝して以来の快挙だ。久しくなかった日本人選手の国際大会での優勝である。

川内の最近の主要な大会は、前半から先頭集団に遅れたり、ペースの上げ下げで消耗したりで、終盤追い込むもののトップから大きく水をあけられてゴールインということが続いていた。ところが、今回ばかりは違っていた。40キロでトップを行くジョフリー・キルイ(ケニア)を抜き去り、2分以上の大差をつけたのである。

ボストンのある東海岸は春の大寒波に見舞われ、スタート時の気温は5度を下回る寒さと風雨。多くの選手たちには、早期の天候回復が待たれただろうし、悪条件の気象コンディションに戦意を失いかけた選手もいただろう。そんな中で、川内はこの気象条件を好機と見たのだ。その卓抜なチャレンジ精神に、国内のみならず、世界のランナーが勇気づけられ、励まされたことだろう。

強いマラソンランナーの証明は、記録か勝負か、という永遠の命題がある。勝負は、だれといかにしのぎを削って勝てたかということに尽きる。選手が持っている心身内面の成熟度によるところが大きいのである。そして、優勝はもっとも誇り高い選手の証でもある。

一方で、記録は走力があるだけでなく、気象条件や回りとの競り合いなどが追い風とならないとなかなか生まれにくい。たしかに、運を味方に引き寄せることができるかという外部要因が大きなポイントになる難しい挑戦といえるだろう。

しかし、今回のレースでは悪い気象条件を味方にして勝利をもぎ取ったのである。川内は、そういう意味で稀有なマラソンランナーである。


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by hasiru123 | 2018-04-21 12:34 | マラソン