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日本陸上競技選手権の主な決勝種目はテレビ中継されたが、残念ながら電波に乗らなかった種目も少なからずあった。その一つ、男子3000mSCについて書いてみたい。

予選が1日目に行われ、決勝が中1日おいた3日目だった。予選では、2組に出場した塩尻和也(富士通)がドーハ世界陸上の参加標準記録を突破する8分27秒25をマークし、全体1位で決勝進出を果たした。終盤は独走態勢になった中での記録達成は、見事である。これで、決勝で優勝すれば世界陸上の派遣選手として即内定というところまでこぎつけた。

塩尻は3年前の大学2年のときに8分31秒89をマークして、男子の長距離陣ではただ一人リオ五輪に出場している。また、5000mからハーフマラソンまでをこなすマルチランナーでもある。そんな塩尻に期待が集まっていた。

ところがである。決勝で思いもかけぬアクシデントに見舞われ、8位に終わった。

日本陸連のウエブサイトで公開されていた動画を見ると、後半は優勝した阪口竜平(東海大)との一騎打ちとなり、残り500mあたりから塩尻が前へ出た。徐々に塩尻が阪口を離しにかかるのかと思いきや、最後の1周で第2コーナー先にある障害に左脚をひっかけたらしく、その後大きくペースが落ちた。次の障害では、越えたあとに転倒した。

阪口は塩尻を引き離した後、そのままゴールイン!。初優勝を飾った。8分29秒85の自己新記録だった。しかし、世界陸上の標準記録までは0.85秒及ばなかった。塩尻にこのようなアクシデントがなくそのままゴールまで競り合っていったならと、惜しまれるレースだった。

塩尻が所属している富士通のウエブサイトには、彼のこんなコメントが掲載されていた。

「(最後の一周で障害物に脚をとられた時の状況は?)最初、障害物に脚をかけた時は左膝を擦ったような感じで、自分でもぶつかったのかわからないぐらいでした。そんなに痛みや動かしにくさが出たわけではなかったので、そのまま最後まで走っていきました。ラストの方でふらついたのは、障害物でミスしたときの反動から来たものなので、特に大きな怪我があるわけではありません」

後に引きずるようなケガではなかったのが何よりだ。今日(7月1日)、トラック&フィールド種目の10名の代表選手が発表された。このほか、参加標準記録を突破しながら内定に至らなかった選手が15名ほどいて、さらに今後開催される国内外の大会で突破者が増えるだろう。男子3000mSCからも、複数の選手が選考されることを願う。


by hasiru123 | 2019-07-01 17:35 | 話題

6月27日(木)から4日間にわたって日本陸上競技選手権が開催される。今回は、ドーハ世界選手権の代表選考会を兼ねている。日本陸連のウエブサイトで公開されているエントリーリストを見ながら、大会を占ってみたい。

今大会の大きな変更点は、これまでの3日間から1日延びたことと、男女10000mが別開催(5月19日)となって、すでに終了していることである。したがって、長距離選手にとっては1500mと5000m、1500mと3000mSC、5000mと3000mSCとの重複出場がやりやすくなった。また、10000mへ出場した選手がこれらの種目にエントリーすることも可能である。

このところ男子短距離が脚光を浴びているが、世界のレベルに近づきつつある競技はそれだけではない。今年の日本選手権では、男子走幅跳と男子110mH、女子やり投げに注目している。

男子走幅跳は、高いレベルでの争いになりそうである。日本選手権2連覇中の橋岡優輝(日大)が4月のアジア選手権で8m22で優勝している。また、津波響樹(東洋大)は追い風参考ではあるが今シーズン8mを6回超えている。この他にも8mを突破している選手が2人いて、加えて7m90台の選手が4名いる。中でも特に楽しみなのが、今季110Hで13秒55のU20日本最高記録を出した泉谷駿介(順天堂大)だ。5月のGGP大阪では追い風参考ながら日本記録(13秒36)を超える13秒26というすばらしい記録で優勝している。また、関東インカレでは三段跳びでも16m台を跳んで優勝し、オールラウンドな力を備えた選手である。日本選手権では走幅跳と110Hにエントリーしているが、決勝が同日となるためどちらかに絞る可能性がある。

その男子110mH。金井大旺(ミズノ)は前回13秒36の日本新で優勝している。そのときに2位に入った高山峻野(ゼンリン)は今季13秒36の日本タイを出して好調だ。この二人はすでに世界選手権標準記録を突破している。先に書いた泉谷を含めた3人の優勝争いとなりそうだが、記録への期待も高まる。

女子やり投げは、日本記録保持者の北口榛花(日大)が出場する。今季64m36を投げたことにより、ドーハ世界選手権と東京五輪の参加標準記録を突破した。一昨年に引退した海老原有希(スズキ浜松AC)の後に続く選手が待たれていたが、北口の成長により女子やり投げが面白くなった。他にも60m超えが見えてきた選手が数名いるので、高いレベルでのしのぎ合いが期待できそうである。 


by hasiru123 | 2019-06-25 18:41 | 話題

さる4月25日に、川越市内にある埼玉県指定文化財三芳野神社で恒例の例大祭が開かれた。3年半かけて行ってきた塗装工事が竣工したことから、同日に竣工祭を兼ねて行い、併せて近隣の氏子を対象に社殿の見学会を実施した。

天井部(注1)以外は朱塗りや黒塗り重ね塗りし、蟇股も彩色し直した。氏子の皆さんたちは、竣工したばかりの鮮やかな色彩に見入っていた。今回は氏子総代が説明にあたったが、今後予定される一般市民向けの見学会(注2)では、修理工事の設計監理を担当した文化財工学研究所のスタッフに専門的な解説をお願いしている。

なお、この日は新聞社や地元テレビなどの取材を受けた。また、5月14日の東京新聞では、社殿の外部と内部について、修理前と後とを比較したカラー写真付きで紹介している。同新聞社のウエブサイトでも見ることができるので、ご興味のある方は、ぜひご一読いただければ幸いである。

(注1)本殿と幣殿、拝殿の天井部は幸い保存状態が良好であったため、塗り直しは行わず、清掃のみにとどめた。
(注2)見学会の詳細は、「広報川越」5月25日号に掲載される予定。


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by hasiru123 | 2019-05-20 16:52 | 話題

「サヨナラといふ 勝ち方と負け方がありて真夏の雲流れゆく」。小笠原和幸の『風は空念仏』という歌集にある1首である。

「真夏の雲」とあるから、きっと夏の甲子園を歌ったものと思われる。サヨナラはいつも劇的で、それがホームランであればなおさらだ。たったひと振りで試合を終わりにしてしまうゲームは野球をおいて他にない。なにしろ、「いくら有能な選手が集団で守っていても、その頭上を越えていく。いわば個の力が組織を問答無用でねじ伏せてしまう現象だ」(鈴木透『スポーツ国家アメリカ』)からである。

それが野球の魅力であり、怖さでもある。鈴木は同書で「個人が組織を圧倒するというホームランの魅力は、産業社会の中で埋没しそうになっている人々の夢と重なる痛快な出来事であると同時に、組織が君臨する以前の前近代的世界へと誘う部分がある」とも書いている。

この劇的なまでの一振りで、カープはホークスにねじ伏せられてしまった。プロ野球日本シリーズの第5戦、延長10回裏に柳田が先頭打者ホームランを放ち、幕切れとなった。この試合でカープは1勝3敗1分けと劣勢に立ち、結果的に日本一を逃すことになる。

ソフトバンクの柳田、恐るべしである。私の脳裏にこの印象が深く刻みこまれてしまった。だがしかし、カープがセリーグの他のチームに対してやってきたことをホークスにやられてしまったことに納得できるだろうか。私は、「仕方ないかな」とやや弱気な気分になっているが、カープの選手たちはぜったいに納得していないはずだ。

それに、今回の日本シリーズではスコアほどの力の差はなく、ほとんど接戦だったといっていい。来年こそ、悲願のチャンピオンフラッグを手にしてもらいたい。


by hasiru123 | 2018-11-10 22:33 | 話題

第100回記念大会

今年の夏の高校野球は第100回目という節目にあたることから、史上最多の56校が参加した。1回戦から見ごたえのある試合が見られ、あっという間に明日決勝を迎えることになった。

夏の甲子園といえば、何といっても全国高等学校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」だろう。加賀大介作詞、古関裕而作曲のあの歌だ。1949年にできた。

その前はというと、1926年に作られた「全国中等学校優勝野球大会の大会歌」(信時潔作曲)と、35年の「全国中等学校優勝野球大会の歌(全国中等学校優勝野球大会行進歌)」(山田耕筰)があった。「海行かば」や数々の校歌を作曲した信時潔であればなるほどと思うが、洋楽の開拓者とされる山田耕筰が野球の行進歌も作っていたとは意外な気がする。

現在では、夏の大会では古関裕而と山田耕筰の曲がセットになる形で使われていて、どちらも高校野球を彩るメロディーとなっている。以上は、片山杜秀氏がFM放送の音楽番組で語っていた内容の聞きかじりである。

前置きが長くなったが、今年の高校野球で気がついたところを挙げてみたい。

一つ目は、多彩な変化球を操る好投手が多かったことである。フォークボールやツーシーム、チェンジアップ、カットボールなどである。出場校数が増えていつもより多くの投手を見ることができたことも楽しみの一つだった。ただし、高校時代の大谷やマエケンは意識的にスライダーを投げなかったという。土台作りに専念するべきこの時期に、変化球の多用は今後成長が気になるところだ。

二つ目は、ヘッドスライディングのシーンが多く見られ、試合を盛り上げた点である。このプレーが多くのドラマを生んできたのは間違いないが、走塁方法としては果たして効率的だろうか。元プロ野球選手の桑田真澄さんは、先ごろプロ野球の解説の中で「スライディングはしない方がいい」と言っているのを聞いた。「成長期にある子供達は毎年骨や関節が伸びる。その段階でヘッドスライディングをすると、脱臼や骨折や突き指をする。イチロー君のヘッドスライディングは見たことがない」と。1塁へ走る場合は、ヘッドスライディングよりも駆け抜ける方が速いと聞いたことがある。

三つ目は、投手を起用する場合に、エース1人に頼るのではなくて複数の投手を継投させるやり方が増えてきたことだ。健康管理面から、大いに進めてほしい施策である。

戦術面からは、各チームの投手事情があるので一概にいうことはできないが、どちらの起用法が勝利に貢献するかについて、手元の新聞で調べてみた。2回戦から準決勝までで、勝ったチームと負けたチームの繰り出した投手数は後者の方が少し多かったものの、大差なかった。しいて言えば、消化が進むにしたがって勝利チームの方が投手数が少なくなる傾向がみられたが、サンプル誤差が大きいので評価するには無理がありそうだ。

そんな中で、昨日近江を破って準決勝に進んだ金足農の吉田投手が、5試合連続で先発し、日大三高の反撃を断ち切ったのにはおどろいた。このチームは、明日も吉田が先発すると思うが、投げ切ってほしいという期待と、継投で少し休ませたいという気持ちが交錯する。

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      (写真)元気に花をつけた百日紅


by hasiru123 | 2018-08-20 19:17 | 話題

日本選手権から

今年の日本陸上競技選手権兼ジャカルタ・アジア大会選考会は、最終日に男子110mHと男子円盤投げで二つの日本記録が誕生した。そして、短距離では男子100mと200mに注目が集まり、レベルの高い競合に見入った。

さて、長距離の方では男女の10000mと女子5000mが見ごたえある展開だった。まず、初日の男子10000mは、8000m付近から飛び出した大六野秀畝(旭化成)が少しずつ後続を引き離して優勝を決めた。また、2位から4位は混戦だったが、4位に入った西山和弥(東洋大)は2年生ながら健闘した。今後が楽しみな選手である。

ただし、大六野はこの夏にマラソンを予定しているなど、今後東京五輪でマラソンを目指すことになろう。気になるのは、上位に入った選手はだれもアジア大会資格記録を突破している者がいないことである。アジア大会に出場するためには、今後開催される大会で「オリンピックスタンダード」等の内定基準を満たす必要がある。

女子10000mは、昨年の優勝者松田瑞生(ダイハツ)が31分52秒42で制した。先に仕掛けたのは鈴木亜由子(JP日本郵政G)だったが、最後の直線に入る前に鈴木を抜いてゴールした。松田は今年の大阪国際女子マラソンで好記録で初優勝した選手であるが、ラストの切れ味は見事だった。鈴木はまだマラソンを走ってはいないが、今後マラソンへの転向が噂されている。

このように男女10000mでは、マラソンで五輪出場を目指す選手で占められた。トラックからマラソンへ、といういい流れができつつあることを実感することができた。その一方で、トラックを専門に取り組む選手の層は大丈夫だろうかと、少し心配になる。

最終日に行われた女子5000mは、大方の予想どおり鍋島莉奈(JP日本郵政G)が2連覇した。今年は、日本歴代9位の記録をマークするなど好調なすべり出しを見せている。また、1位から6位までが6秒の中に入る混戦で、この種目の層の厚さを示している。


by hasiru123 | 2018-06-24 23:16 | 話題

9秒98から学ぶ

桐生祥秀選手(東洋大)がついに陸上男子100mで9秒台を出した。4年前に10秒01を出して以来、日本のトップランナーとして短距離界を牽引してきたが、ようやく大台を突破することができた。心から祝意を表したい。

待ちに待った4年間ではあったが、その間に選手たちの環境は大きく変化した。それは、しのぎを削ってきた数名のライバル選手たちのだれもが9秒台を出してもおかしくないところまで進化し、力が拮抗してきたことである。

これで、ライバルの選手たちは桐生選手の出した9秒98切りが当面の目標となるはずだ。堰(せき)を切ったように9秒台が続出しそうな予感がする。

ちなみに、今日(9月24日)大阪で行われた陸上の全日本実業団対抗選手権男子100m決勝で、山縣亮太選手(セイコーホールディングス)が10秒00で走った。追い風0.2メートルというほぼ無風の条件下で出されただけに、価値がある。今年残された大きな大会は愛媛国体など少なくなったが、多くの選手が桐生選手の記録に挑んでほしいと思う。

電気時計で10秒を切った選手は世界に120人以上もいるそうだ。大部分は米国やジャマイカなどのアフリカ系の選手である。また、短距離というと日本人には向かない競技ではないかと言われた時代があった。そういうコンプレックスを、これまでの多くの日本人選手が抱いてきたのではないだろうか。

ところが、ここ数年でそういうコンプレックスを感じさせない流れができつつあった。壁を破るには、「できる」と思うことが大きなアシストになるだろう。

一方で、同じ全日本実業団対抗選手権の男子10000mでは、11位までが外国人選手で占められた。こちらの方は、東アフリカ出身の選手にはかなわないというコンプレックスから抜け出せないでいるように思える。長距離の選手たちには、ぜひとも短距離陣の奮闘から学び取ってほしいと願っている。


by hasiru123 | 2017-09-24 23:58 | 話題

チームで挑む

世界トップの長距離陣はさすがだな、と思わせたのは、世界陸上ロンドン大会の男子10000m決勝だった。

優勝したのはモハメド・ファラー(英国)で、今季世界最高の26分49秒51でフィニッシュした。この種目で世界選手権3連覇という偉業を達成した。大試合での26分台という記録もすごい。

1000mごとのラップタイムが2分40秒前後というハイペースで推移した。それにもかかわらず、長い先頭グループを形成し、トップが目まぐるしく入れ替わった。しかも、同じ国の選手が交代でトップを引き、他の国の選手たちに受け継がれる。

どの選手もラストに強いファラーをマークしているにもかかわらず、意識的に速いペースを刻もうとしているように見えた。終盤の勝負に持ち込ませないためだろう。

選手のユニフォームから、ケニアとエチオピア、ウガンダ、米国、エリトリアがそれぞれ3名いるのが分かった。英国はファラー1人である。これらの国の選手たちが、いまの世界の長距離界をリードしているのだ。その選手たちが、まるで国ごとの対抗戦に挑んでいるかのようにしのぎを削っている。

ケニアやエチオピアといった長距離王国の選手たちが、ある意味でプライドをかなぐり捨てるとも思える作戦に出たのである。それは、なぜか。

ファラーの連覇を阻止するためだろう。それしか考えられない。自分の国のだれが優勝してもいい。何としてもファラーを超えるのだ、と。

それくらいファラーは強かった。そして、他の選手のファラーへの対抗意識も人一倍強かった、ということだろう。その気持ちがグループ全体のペースを上げ、結果的として素晴らしい記録につながったのだ。この大会で、最も記憶に残るレースだった。


by hasiru123 | 2017-08-15 20:43 | 話題

今を受け入れる

毎年7月の北海道で順次開催される長距離記録会がある。「ホクレン・ディスタンスチャレンジ」という。士別市をはじめとする4つの都市で行われ、全国から主だった長距離選手が参加して記録を競う。

昨日の網走大会ですべての大会が終了し、リザルトは日本陸連のサイトで公表されている。大学生や実業団選手は秋以降の駅伝に向けて、高校生はインターハイ(山形)への調整として、記録に挑む。そして、日本選手権で上位入賞した選手は、世界陸上(ロンドン)の参加標準記録の突破を目指して挑戦する。

なぜこの時期に、北海道なのだろうか。まず、日本選手権や対抗戦等の勝負を重視した主要な競技会が一段落したことがあげれる。そして、この時期の北海道は本州以西に比べると湿度、気温ともに低く、長距離の記録作りに適している。選手たちがこぞって北海道に集結する理由はここにある。

さて、今年の成果はどうだっただろうか。

昨日、最後の網走大会が行われた。男子10000mで大迫傑(Nike ORPJT)が27分46秒64で日本人トップの2位に入ったが、世界陸上(ロンドン)の参加標準記録を突破することはできなかった。ちなみに、10000mの標準記録は回を重ねるごとに上がり、現在は27分45秒00というハイレベルである。これも、世界の潮流なのだから仕方のないところである。したがって、男子10000mでは今回の世界陸上への出場者はゼロということになりそうである。

また、男子5000mでも標準記録をクリアした選手は現れなかった。一方で、男子3000m障害は潰滝大記(富士通)が8分29秒05を出して標準記録を突破し、代表入りを濃厚にした(潰滝は日本選手権の優勝者)。

ということで、男子の中長距離種目(競歩を除く)からは3000m障害の潰滝一人ということになりそうだ。日本選手権で代表を決めきれなかった男子だが、その後の標準記録との戦いがいかに難しいものであるかを示したといえるだろう。

これまでに経験したことのない大変深刻な事態である。先のブログに書いたことの繰り返しになるが、現在の気象条件に比べたらかなり恵まれていた6月の日本選手権で記録への挑戦を回避したと思える選手たちの戦略に疑問を感じているし、とても残念である。ここからは、すべては自分の選択した結果だと、今を受け入れることからリスタートするしかないのではないだろうか。


by hasiru123 | 2017-07-14 19:11 | 話題

陸上競技の短距離走はすぐに勝負がついてしまうのでなじまないが、長距離走、特に10000mはちょうどいい加減の時間である。そして、マラソンは長すぎて時間を持て余してしまう。ここでいう「いい加減」というのは、ビールを飲みながらテレビ観戦するときの時間の長さのことである。この3日間、陸上競技の日本選手権を観戦していてふと思ったのはそんなことだった。

10000mと5000mの決勝は、男女ともみごたえのあるものだった。特に、女子の両種目は勢いを感じさせるレースぶりだった。10000mでは、昨年の優勝者鈴木亜由子(日本郵政グループ)と松田瑞生(ダイハツ)とのマッチレースとなったが、ラスト100mでインコースからスパートした松田が優勝した。1位から3位までの選手が標準記録を超えた。

5000mでは、鍋島莉奈(日本郵政グループ)が標準記録をクリアして初優勝した。両種目とも2位に入った鈴木は本調子ではないながらもレースを引っ張り好記録につなげる役割を果たした。

いずれの種目とも女子は、すでに標準記録をクリアしている選手たちが積極的に前へ出て、競争の中から結果的に好記録に繋げている。まだまだ伸びしろのある選手が多いので、本番前にできるだけ多くの大会に出場してペースの変化に対応できるスピードに磨きをかけてほしい。

それとは反対に、男子は元気がない。男子の出場選手では、両種目とも標準記録をクリアしている選手はなく、競技の中でも記録達成は見られなかった。10000mは、スローペースで展開し、終盤の駆け引きが熱を帯びた。残り600mくらいで大迫傑(Nike ORPJT)が3人の争いから抜け出して、2位に15メートル近い差をつけてゴールした。

5000mもゆったりしたペースで入り、1000m位から鎧坂哲哉(旭化成)や上野裕一郎(DeNA)らが交代で引っ張ったが、最後は松枝博輝(富士通)ら3名の争いとなり、残り50mで松枝が後続を振り切った。

このレースを見て、世界陸上に出場するためのもっとも重要な要件を先送りする男子の戦略に疑問を感じた。いずれのレースも抜きつ抜かれつの激しい戦いとなり、国際大会を見ている気分にさせられた。ただし、記録的には物足りない。世界のトップクラスがそろう大会であったなら、完全に周回遅れのレースになったはずだ。はじめから標準記録超えを放棄しているとしか思えない、消極的な走りだ。

標準記録よりもまず日本選手権で優勝もしくは上位に入賞して、その後の選考対象レースで標準記録を突破すれば世界陸上の代表になれると考えているのかもしれない。たしかに残り1か月強の日程で標準記録を超える選手少なからず出るとは思う。だが、順番が逆ではないだろうか。標準記録をクリアしない限りは日本選手権の成績いかんにかかわらず代表になることはない。

標準記録を持たない選手たちは、なぜ日本選手権で優勝と標準記録の突破を同時に狙わないのだろうか。一人で引っ張っても途中でペースダウンししてしまうのではないかとか、ライバルにつかれて最後にやられてしまうのではないかなどと、不安があるのかもしれない。であれば、同じチームのライバルたちと組んで交代で引っ張ったらどうだろうか。そこへ複数のチームが参戦したなら、さらに高いレベルの競争が生まれるかもしれない。ちなみに、10000mでは旭化成から5名、トヨタ自動車から4名、富士通から2が名出場していた。

そうした激しい競争の中からでないと、好記録は生まれにくい。

by hasiru123 | 2017-06-29 16:46 | 話題