再び高校野球について

アマチュアスポーツを巡っては、日本大学アメフト部の前監督らが悪質な反則を指示していた問題や日本レスリング協会前強化本部長によるパワーハラスメント、女子柔道のロンドン五輪前監督らによる暴力・暴言などが相次いで明るみに出ている。そもそも、スポーツにはフェアプレーの精神はあったのだろうかと、疑いを持ってしまう昨今である。

そんな中で、再び夏の高校野球について。

大阪桐蔭と浦和学院の準々決勝でのことだ。浦和学院の投手に打球が当たった。大阪桐蔭の3塁コーチャーがすかさず投手のところに駆けつけ、コールドスプレーを吹きかけた。準決勝の済美戦でも、大阪桐蔭の打者が放った打球がイレギュラーバウンドして、済美の三塁手の喉元に当たるシーンがあった。そのとき、さりげなくコールドスプレーを持って走り寄ったのが、大阪桐蔭の三塁コーチャーだった。

大阪桐蔭が済美を降したあとの選手へのインタビュー。大阪桐蔭のある投手は、決勝の相手に決まった金足農の主戦投手について、これまでに一人で5試合を投げ抜いたことをたたえ、そして気遣った。

これまた、さかのぼって春の選抜大会の決勝戦。大阪桐蔭の投手がゲームセットとなるアウトを取ったとき、相手の智辯和歌山の選手に挨拶してから、一人遅れて仲間の歓喜の輪に入った。

こうした選手たちの小さな行動の一つ一つに何のつながりもないのだろうが、見守る者たちの心を動かす高まりのようなものを感じずにはいられなかった。誰かが教えたとか助言したとかというのとは違う、自立した精神がこの選手たちに宿っているように思えたからである。

相手チームの選手は「敵」ではない。野球を楽しむ大切な「仲間」である。高校野球が人々を引き付けるのは、忘れていたこの高揚感を思い出し、新たな気持ちで出発しようとさせるからかもしれない。


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by hasiru123 | 2018-08-29 21:17 | その他

第100回記念大会

今年の夏の高校野球は第100回目という節目にあたることから、史上最多の56校が参加した。1回戦から見ごたえのある試合が見られ、あっという間に明日決勝を迎えることになった。

夏の甲子園といえば、何といっても全国高等学校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」だろう。加賀大介作詞、古関裕而作曲のあの歌だ。1949年にできた。

その前はというと、1926年に作られた「全国中等学校優勝野球大会の大会歌」(信時潔作曲)と、35年の「全国中等学校優勝野球大会の歌(全国中等学校優勝野球大会行進歌)」(山田耕筰)があった。「海行かば」や数々の校歌を作曲した信時潔であればなるほどと思うが、洋楽の開拓者とされる山田耕筰が野球の行進歌も作っていたとは意外な気がする。

現在では、夏の大会では古関裕而と山田耕筰の曲がセットになる形で使われていて、どちらも高校野球を彩るメロディーとなっている。以上は、片山杜秀氏がFM放送の音楽番組で語っていた内容の聞きかじりである。

前置きが長くなったが、今年の高校野球で気がついたところを挙げてみたい。

一つ目は、多彩な変化球を操る好投手が多かったことである。フォークボールやツーシーム、チェンジアップ、カットボールなどである。出場校数が増えていつもより多くの投手を見ることができたことも楽しみの一つだった。ただし、高校時代の大谷やマエケンは意識的にスライダーを投げなかったという。土台作りに専念するべきこの時期に、変化球の多用は今後成長が気になるところだ。

二つ目は、ヘッドスライディングのシーンが多く見られ、試合を盛り上げた点である。このプレーが多くのドラマを生んできたのは間違いないが、走塁方法としては果たして効率的だろうか。元プロ野球選手の桑田真澄さんは、先ごろプロ野球の解説の中で「スライディングはしない方がいい」と言っているのを聞いた。「成長期にある子供達は毎年骨や関節が伸びる。その段階でヘッドスライディングをすると、脱臼や骨折や突き指をする。イチロー君のヘッドスライディングは見たことがない」と。1塁へ走る場合は、ヘッドスライディングよりも駆け抜ける方が速いと聞いたことがある。

三つ目は、投手を起用する場合に、エース1人に頼るのではなくて複数の投手を継投させるやり方が増えてきたことだ。健康管理面から、大いに進めてほしい施策である。

戦術面からは、各チームの投手事情があるので一概にいうことはできないが、どちらの起用法が勝利に貢献するかについて、手元の新聞で調べてみた。2回戦から準決勝までで、勝ったチームと負けたチームの繰り出した投手数は後者の方が少し多かったものの、大差なかった。しいて言えば、消化が進むにしたがって勝利チームの方が投手数が少なくなる傾向がみられたが、サンプル誤差が大きいので評価するには無理がありそうだ。

そんな中で、昨日近江を破って準決勝に進んだ金足農の吉田投手が、5試合連続で先発し、日大三高の反撃を断ち切ったのにはおどろいた。このチームは、明日も吉田が先発すると思うが、投げ切ってほしいという期待と、継投で少し休ませたいという気持ちが交錯する。

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      (写真)元気に花をつけた百日紅


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by hasiru123 | 2018-08-20 19:17 | 話題

とっくに立秋を過ぎたが、関東地方では晴れればとてつもなく暑く、日が陰れば蒸し暑い陽気の今日このごろである。

しかし、古の人はこの時期に能動的に秋の気配を感じ取っていたのである。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる

古今和歌集に収録されている藤原敏行の歌である。歌意は、「(立秋になっても)秋が来たと、はっきりと目にはみえないけれど、風の音で(秋の気配に)はっと気づいたものでした」。

「来ぬ」は「来た」という意味なので「きぬ」と読む。「おどろく」は、「びっくりする」ではなく、「はっと気づく」の意味で使われている。

小さなできごとにはっと気づく。そうやって、日々少しずつ驚いて、ある日突然驚かされることがないよう、心がけたいと思っている。なぜならば、8月13日現在で広島東洋カープは2位の巨人を11.5ゲーム引き離して独走しているからである。

8月中旬という時期で、2位とのゲーム差が11.5というのはびっくりするくらい大きい。しかし、3月末の開幕からの順位表を時系列に追っていくと、徐々に差が開いてきたことが分かる。「あっ、今日勝った」「また、勝った」という小さな驚きと興奮の積み重ねが11.5ゲームという開きにつながったのだと思う。

その反対の場合もある。たとえば、昨年のペナントレースだ。7月末には首位広島と2位阪神タイガースとのゲーム差は11あったのが、8月末には5.5に縮まった。また、8月8日には球団最速でマジック33が点灯したものの、8月31日時点では消滅している。これも、広島が勝ったり負けてりしているうちに、阪神が連勝を重ねて少しずつ差が縮まってきたためである。

こんな時は、黄信号を早く察知して、驚かされることがないよう、気をつけたい。そういう意味を込めた、自戒である。


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by hasiru123 | 2018-08-13 20:17 | その他