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地元経済を創りなおす――分析・診断・対策 (岩波新書)

枝廣 淳子/岩波書店

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最近多くの地域で取り入れられている「六次産業化」というのをご存じだろうか。農産物などを生産する第一次産業だけでなく、その生産物を用いて食品加工(第二次産業)を行い、さらに流通や販売(第三次産業)にも携わっていくことで、これまで第二次・第三次産業の事業者が得ていた付加価値を第一次産業の事業者が得ていこうというものだ。「六次産業化」は、1(第一次産業)×2(第二次産業)×3(第三次産業)=6からつけられた。

「外に持ち出して加工して持ち込んでいるもの」に着目しようと、『地元経済を創りなおす』(岩波新書)の著者である枝廣淳子さんは考える。例えば、スケソウダラの卵巣を唐辛子などで味つけした辛子明太子は、博多の名産品として知られているが、原料は主に北海道で獲れるのに生産量の7割は福岡県である。しかし、北海道の消費量は全国平均を上回っている。

北海道で獲れて、北海道で加工された明太子を北海道の消費者が食べるようになれば、その分、北海道から域外に流出していたお金が地元に残ることになるだろう、と。枝廣さんは、この現象を「漏れ穴をふさぐ」と表現している。お金が漏れる悪循環を断ち切るために、「注いだ水が出て行ってしまう穴」を見つけてふさごうという発想だ。実は、この漏れ穴は私が住んでいる地域にもいろいろありそうだと気がついた。

首都圏にある川越市は、かつては江戸時代の城下町として栄え、蔵造りと呼ばれる建築様式の古い土蔵や商家が立ち並ぶ町並みで知られている。明治時代から続く菓子屋横丁には、昔ながらの菓子屋や駄菓子屋が軒を連ねていることから、最近は観光都市として注目を浴びる存在になっている。『地元経済を創りなおす』を参考にしながら、この川越市を様々な統計を使って作られた「地域経済分析システム」(RESAS=リーサス)の2013年版から地域経済の一端を覗いてみた。

川越市の生産(付加価値額)の総額は10,805億円で、第三次産業が生産の多くを占めている。10,805億円の生産に対して、分配(所得)は11,666億円と、生産を上回っている。これは、市外に勤務している人が給与などを川越市に持ち帰っていることを示している。いわゆる「ベッドタウン」では、この比率がさらに大きくなる。

「地域経済循環率」という指標があるが、これは生産(付加価値額)を分配(所得)で除した値で、地域経済の自立度を示すものである。値が低いほど他地域から流入する所得に対する依存度が高い。生産(10,805億円)÷所得(11,666円)=0.926。川越市は、所得のうち約92%が生産を支えている計算になる。これは、埼玉県の77.6%やさいたま市の88.5%と比べると高い数値だ。観光収入が寄与しているためと思われるが、市民の生活実感からは豊かさが感じられない。数字上では地域経済の自立度が高いように見えるのに、なぜだろう。

私がたてた仮説はこうだ。
<観光収入が地域内に循環していないのではないか>
川越市内には多くの土産物店があるが、その相当部分が外部の事業者や地域外から通う販売員によって支えられている。せっかく地域にお金が入っても、そのお金がすぐに流出してしまっては、地域経済にとってのメリットは少ないからだ。そのためには以下のような検証が必要である。

検証その1:いったん入ったお金が最終的にその地域から出ていく前に何回地域内で使われるか(地域内乗数効果)を調べ、そこから課題を抽出する。

検証その2:観光事業だけでなく、市民の生活に必要な物資についても調べ、日ごろの買い物行動が地域内乗数効果を上げる方向に働いているかを確認する。

この視点を膨らませることで、多様な製品の開発と販売が地元商店街の復活につなげられる可能性がある。土産物店に限らず、生活に必要な食料品や日用雑貨品などを販売する店舗(これらの店舗は、街中から消えてから久しい)である。いわゆる「地産地消」を進めるのである。

この「地産地消」の考え方を、地域経済の観点から大きく発展させた考え方が枝廣さんの提唱する「地消地産」である。「地産」と「地消」の中に「地販」を入れるのが肝である。地元で生産されたものを地元の人の手で販売し、地元の人が消費する。「未来は地域にしかない」という視点に一票を投じたい。


by hasiru123 | 2019-01-17 20:27 | その他

年末からランニングは少しお休みしていたため、今日1月2日の練習が初走りとなった。

元旦は、31日の夜から続いた三芳野神社の元朝祭の対応で、元に日が昇るころはすっかり爆睡していた。したがって、今朝走りながら見た来光が事実上の初日の出となった。私の場合は、ジョギングしながらあれこれ考えるタイプであるが、今朝ふと考えたことについて書いてみたい。

年末に、NHKスペシャル「女7人おひとりさま みんなで一緒に暮らしたら」というテレビ番組を見た。

阪神地域にある住宅街に建つ小さなマンションで、高齢の女性たちによる「実験」が始まっている。「おひとりさま」である7人の女性たちがマンションの部屋を別個に購入。それぞれの部屋を行き来し見守りあう「ともだち近居」という住まい方を選んだ。7人は、71歳から83歳まで、コピーライターやカウンセラー、民間企業の広報室長など「働く女性」として人生を歩み、「老い」や「ひとり」への不安や寂寥感を抱きながら、「でも、へこたれないわ」と背筋を伸ばしながら、人生を生きてきた。

いま、7人は様々な課題に直面している。病気で入院したり、認知症になったらどうするか?介護や延命治療は?お墓はどうするか?・・・。誰もが「老いて生きる」上で直面する試練の数々を7人はどう悩み、どう乗り越えようとするのか?励まし合い、叱り合い、笑い合い、涙し合うホンネのやりとりを軸に、超高齢・超単身社会の幸福のあり方を見つめ、問いかけるドキュメンタリー。以上は、番組のウェブサイトから要約したもの。

「ともだち近居」という住まい方は、「家族」よりもゆるく、ゴミ出しの時に挨拶する程度の近隣同士や「町内会」、民生委員の見守りよりも濃い関係といえるだろう。状況によっては「ふつうのともだち」よりも濃い関係かもしれない。高齢化社会が進み、一人暮らし高齢者(もしかして一人暮らしの現役世代や二人暮らし夫婦を含めた方がいいかもしれない)が増える中で、幸せな暮らし方を求めるのに避けて通れないテーマである。

ここに登場する7人は、みな社会的には成功者といわれる女性たちで、経済的には恵まれている人たちのように見える。そういった制約を差し引いても、認知症や介護、延命治療、お墓などに加えて、不安や寂寥感をホンネで語り合える関係は、男性間ではまず考えられない「実験」だろう。

続編が作られるのであれば、並行してさまざまなグループによる試みを追い続けてほしいと思う。それにしても、ゆるい関係とはいえ自然発生的にできるわけではないので、この取り組みはそれなりのエネルギーを持った人同士でないと成立しがたいように思えた。

そんなことで、ふだんの早朝は約12キロの距離を80分位で走るところを、今日は90分近くかかってしまった。帰宅時を朝8時の箱根駅伝のスタートに間に合わせたつもりだったが、テレビで1区の先頭集団を確認したときはすでに新八山橋を過ぎていた。

(追記)レース中は無心で走っています、というか何も考えることができません。


by hasiru123 | 2019-01-02 21:16 | その他

森脇康行です。             LSDから始めるランニングの世界を追求します。コミュニケーションを大切に、そして健康に注意しながら走っていきたいと思います。
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