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新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、インフルエンザと同等の5類になってから7か月近くになる。このことによって一律に日常での基本的感染対策を求められることはなくなり、わたしたちの生活や社会に活気が戻ってきたように見える。


NHKは、2月2日時点で新型コロナの患者数が前の週から1万3339人増えて7万3607人となり、1つの医療機関当たりの平均の患者数は14.93人で前の週の1.22倍となったという厚生労働省の発表を報じていた。これは微増と言えるのかもしれないが、気になるのは前の週からの増加が10週連続ということである。


昨日は、わたしの所属するチームが埼玉県駅伝に参加した。コロナ禍を経て、ようやく2020年まで実施されていた競技スタイルに戻った。これまでの自粛やマスク生活から離れて競技を行えるようになったことはうれしい限りである。ただし、手放しで喜べる状況にはないようである。


というのは、1週間前の奥むさし駅伝に続く本駅伝では、わたしたちのチームではコロナや風邪のために出場をとりやめた選手が続出したからである。幸いにして補欠で控えていただいた選手のおかげでタスキをつなぐことができた。そして、サポートも欠員が生じたが、最少人数にもかかわらず円滑に進めることができたのは何よりである。早朝の集合から閉会式に至るまで参加していただいた関係の皆様には深い感謝の気持ちを記したい。


私見ではあるが、昨今の感染者数の増加は長いコロナ禍の生活で免疫力が落ちていることに加えて、今年は暖冬といわれながらも気温の変動が大きかったことが影響しているのではないかと思っている。心肺機能に負担がかかる長距離選手にとっては、よりリスクが高い感染症である。


かく言うわたしも、感染症ではないがこの冬体調を崩した者の一人である。発熱や呼吸器系の症状がある場合は、新型コロナかもしれないし、インフルエンザかもしれない。そんなときには、無理をしないで自宅で休むに限る。改めて、養生の大切さを思い知らされた駅伝だった。


寒暖差にご注意 厳冬期の駅伝_c0051032_17564357.jpg

(写真)2月3日の節分会追儺豆撒き式 成田山川越別院


# by hasiru123 | 2024-02-05 18:04

1月中旬のこと、ふと新聞のテレビ番組表を見ていたらNHK総合テレビで皇居・宮殿「松の間」で開かれる「歌会始の儀」が生中継されることを知った。早速ビデオに収録して、視聴することに。


歌会始の起源は必ずしも明らかではないが、ここは宮内庁のサイトに詳しく解説されていたので、引用してみる。


「鎌倉時代中期、亀山天皇の文永4年(1267年)1月15日に宮中で歌御会が行われており、『外記日記』はこれを「内裏御会始」と明記しています。以後、年の始めの歌御会として位置づけられた歌会の記録が断続的に見受けられます。このことから、歌御会始の起源は、遅くともこの時代、鎌倉時代中期まで遡ることができるものといえます」


このことから、歌会始は750年以上前から行われていたことが分かった。さて、令和6年の歌会始は、題が「和」。どの入選歌も素晴らしいものばかりだった。中でも私が惹かれたのは次の一首である。


 花散里が一番好きと笑みし友和服の似合ふ母となりぬる

   (石川県 30代 女性)


作者が能登半島地震で被災した石川県の方だったからではないし、「花散里」という源氏物語の登場人物の名前が出てきたからでもない。


女性の入選者は皆和服姿だった。学生時代に友人たちと交わした会話から、「花散里」が好きだと話していたその人を思い出したのかもしれない。母となり、和服の姿に時の流れを思いつつ、詠んだものだろう。まるで自分の姿が映っているかのような雰囲気に思わず快哉を叫んでいる。心が晴れやかになって思わず声が出てしまった、そんな光景が目に浮かぶようだ。気持ちを表す言葉が生き生きとしている。


こんな歌に出会うと、読者は和服に身を包んでみたくなるのではないか。


和服の似合ふ 歌会始から_c0051032_19505164.jpg

(写真)龍山院の白梅 埼玉県上尾市


# by hasiru123 | 2024-01-30 19:39 | 芸術

最近、30年近く前に「岩波新書評伝選」として上木された本書を手にすることができた。


紫式部について、歴史的にわかっているのは藤原為時の娘、藤原宣孝の妻、一条天皇の中宮である彰子に仕えた女房であることくらいである。このように歴史的な資料が少ない中で、「紫式部集」と「紫式部日記」を渉猟して書き上げた評伝が『紫式部』である。


「式部集」はもともと式部自身によって編まれたものとされているが、破損等で式部以外の人の手で編集された可能性が高い。時系列に配列されていない歌も一部あるようだ。


「第1章 娘時代」で式部集の際立った特色として、著者は「娘時代がある意味を持った、他は明らかに区切るべき一時期として意識されたいたこと」を挙げている。和泉式部や赤染衛門といった同時代の歌人たちは恋人との贈答歌において「彼女たちはみな男に呼びかけているが、紫式部集には女友達が顔を並べ、そのために式部は女学生のように爽やかで、時には少年ぽく見える」。


式部集の第二首目にこんな別離の歌がある。


<鳴き弱る籬の虫もとめがたき秋の別れを悲しかるらむ>


垣根の虫の鳴き声が弱まっている。秋の別れ(仲の良い友だちが嫁ぐか友だちの父親の任地が決まって帰京することによる分離の比喩でもある)を止めることが出来ない寂しさを詠んでいる。友だちとその別離が数多く歌われているのが式部の娘時代の特色で、青春の核心がいつの時代も不変であると書く。


もう一つの特色としては、やや時代が飛ぶが「第4章 宮え」で筆を進める紫式部の抱く深い闇と暗さについてである。式部集の第60首目に見える「憂きこと」とは何か。何らかの事情によって思い悩むの状態を表す言葉で、これが原因で出仕が止まっていたと著者は見る。いったんは宮使えの職を得たにもかかわらず、これを厭わしがった理由について「紫式部日記」から深層を探っている。


とはいうものの、式部はこのまま引きこもり続けたわけではなく、宮仕えは復活し、女房とのコミュニケーションを図ることに成功している。宮中からの信頼を獲得し、白氏文集を進講するなどトップクラスの女房に上り詰めた。式部の一方ならぬ自己抑制が効いたと見るべきか。


日記は私的なノートという形式をとりつつも道長や中宮に献じられたものである。主人筋に出すのは、これをもとに別に書き変えられたはずだとしつつも、道長側には式部のような憂えを持つ者にも、能力を発揮する場をあたえているという、結局は日記が主家を礼賛する図式になっているのではないかと推論している。


仕事に精勤できたことが、一時ではあるにせよ物思いを忘れさせるものが確かに存在している。王朝時代の日記のあり方と貴族の意識の中に式部が物語を紡ぐ芽が育まれたのではないか。本書から、「源氏物語」を読むことによって一人の人間としての紫式部を知りたいという思いを抱いた次第である。


紫式部の明と暗 清水好子著『紫式部』_c0051032_19054247.jpg

(写真)1月上旬に咲き始めた蝋梅 埼玉県川越市 


# by hasiru123 | 2024-01-21 19:14 |

100回目を迎えた箱根駅伝は、往路優勝の青山学院大が復路も制し、大会記録を2分17秒更新する10時間41分25秒で総合優勝を飾った。2位の駒澤大には6分35秒差をつけ、駒大有利という大方の予想を覆した。


23チームによる熾烈な戦いを象徴するかのように、往路・復路とも当日行われた選手変更が目立った。往路で22校・39件、復路では22校・45件あった。例年4日前に発表される16名の登録選手(正10名、補欠6名)と当日朝に発表される選手変更はいつも気になっている。


というのは、本来なら10名のメンバー中に入っていてもおかしくない実績のある選手が補欠に回って、当日朝にどこかの区間に配置されるというケースが少なからず見られるからだ。高度な戦術とは思いつつも、心のどこかにしっくりこないものがある。


たしかに、開催要項では当日のメンバー変更は「正競技者と補欠競技者の交替は6名までとする。なお、1日に変更できる競技者は4名までとする」となっている。箱根駅伝は、10区間を平均して一人当たり21キロを超える長い距離を走る競走だ。万一の事態に備えて複数選手の様子を見るために、レース当日でも選手の変更が認められている。現に、今回はインフルエンザの感染で変更を余儀なくされたケースが多数あったと聞く。


一方で、そういった本来の趣旨を超えたところで行われているケースはないだろうか。選手側に立ってみると、力及ばず補欠に甘んじるというのであれば諦めがつくし、リベンジして次の機会の励みにすることができるだろう。もともと補欠にはそのような宿命があるからだ。その上で、補欠の使い方次第で補欠選手がすっきり気持ちを切り替えて次のステップへ進めなくなるのではないかと危惧している。


学生スポーツのあり方として、もう少し前向きな登用の仕方があるのではないかと考えてしまう。もちろん、監督さんたちは悩みに悩んだ上でオーダーを決めるはずなので、わたしの独りよがりな見方かもしれないし、そうであれば幸いである。


今回区間賞に輝いた10人の選手のうち当日変更で走った選手が5人いた。重要な作戦の一つであることは間違いないようで。


# by hasiru123 | 2024-01-04 20:50 | 駅伝

就寝前にふとテレビのチャンネルを回したら、胸をつかれるような番組に出会い、最後まで見入ってしまった。


12月27日のTBSテレビで放映していた『プロ野球戦力外通告 人生の岐路に立たされた男たちとその家族の物語』というドキュメンタリーである。スタジアムやテレビ中継では見ることのない、選手とその妻たちが共に生きる姿が映し出されていた。


今年戦力外通告を言い渡された選手のうち3名が実名で登場する。高山優希投手(元日本ハム)と中山翔太外野手(元ヤクルト)、そして薮田和樹投手(元広島)である。


恥ずかしながら、わたしは「戦力外通告」と「自由契約」の違いがよく分かっていなかった。あれこれ調べてみると、戦力外通告は球団が行う予告で事実上の解雇で、自由契約は選手が現役を続けたい場合の選択肢の一つ、そして他の選択肢として「引退」があるということを知った。


番組の『戦力外通告』では、戦力外通告を受けた選手が野球を続けるために合同トライアウトを目指す選手たちの姿を追う。合同トライアウトは、12球団の首脳陣やスカウトが視察に来る入団テストだ。


トライアウトでは、ワンボールワンストライクから始まる実戦形式のシートバッティングが行われ、ピッチャーはバッター3人に投げ、野手は7打席に立つ形で進められた。


これまでオリックスから横浜DeNAに入団した中村紀洋選手のように、合同トライアウト後に再び雄姿を見せた選手もいるが、現実は狭き門。毎年、平均60人前後がトライアウトを受けているが、その中で再度プロ野球のユニフォームを着られる合格者は本当に数少ない。


大谷翔平選手や山本由伸選手がドジャースと大型契約を結んだという話題が沸騰する中で、日本でも毎年数十名のプロ野球選手が戦力外通告を言い渡され、ストーブリーグの悲哀を味わっている。


自由契約を選んだ選手の「その後」については一般ファンの知る機会は限られているが、温かい声援を贈り続けたい。それがプロ野球を楽しむ者の務めではないか、と。


# by hasiru123 | 2023-12-30 18:47 | その他